「ショートゲームを磨くように切り替えました」
現在、菅さんのドライバーの飛距離は220~230ヤード。全盛期の280ヤード前後に比べると50ヤード以上は落ちたが、そのことについてはもう達観しているそうだ。
「飛距離が落ちたのは65歳を過ぎたころと、70歳代に入った直後でした。1年ごとに4~5ヤードずつ飛ばなくなった。最初の頃は愕然としたけれども、飛ばなくなったのは仲間も一緒ですし、仲間と比べるとまだ私のほうが飛んでいるから、それで自分に折り合いをつけて、ショートゲームを磨くように切り替えました」(菅さん)
とはいえドライバーをかっ飛ばして全ホール、パーオン(規定の打数よりも2打少なくグリーンにボールが乗ること)が当たり前だった菅さんにしてみれば、3打目のアプローチが残ること自体、戸惑うこともあったに違いない。以前、この連載に登場してもらった91歳のエージシューター植杉乾蔵さん(関連記事:「 エージシュート1300回、“球磨の怪物”は91歳!」)の言葉を借りれば、「若い頃はほとんどパーオンしていたから、私自身も寄せのアプローチが下手なんですよ」ということなのだろう。
もし菅さんが同じ思いを抱いているとしたら、これもまたトップアマだった人ならではの悲劇(?)ということになるのかもしれない。
エージシュートがでやすい80歳過ぎまでどう続けていくか
だが、菅さんの名誉のために付け加えておくと、多くのエージシューターを見ていると、70歳代のときにエージシュートを頻繁に達成しているわけではない。特に70代前半ともなれば、ほぼパーで上がる必要がある。仮に75歳だったとしたら、3オーバーしか許されないのだ。加齢とともにドライバーの飛距離は落ちてパーオンの確率は低くなり、それをアプローチでカバーしながらパーを重ねていくわけだが、毎ホール、寄せワン(ピンにボールをできるだけ寄せてワンパットで決めること)ができるはずもなく、ときにはボギーになる。70歳代のエージシューターが少ない理由はこうしたことによる。
一方、70台でラウンドできる力量を維持していければ、80歳を過ぎて自ずとエージシュートは達成できるようになっていく。大切なことは、80歳になるまでゴルフに対するモチベーションを下げず、いかに体力を維持し続けることができるかだ。
菅さんの素晴らしさは、エージシュートの達成はもちろんだが、シングルプレーヤーの次なる目標を設定したことにあった。それは一体どんな目標だったのか? 次回、菅さんが掲げた壮大な計画について紹介しよう。
*)次回(9月17日公開)は、『55歳で思い立ち、掲げた目標は「47都道府県ゴルフ場制覇」』をお届けします。ぜひ、ご覧ください。