トップアマアがエージシュートを達成できない3つのわけ
このように、エージシュートを達成した者の多くに、若い頃からバリバリのトップアマだった人たちが少ないのはなぜだろうか?
以下は、これまでに多くのエージシューターを取材してきた私の個人的な考えでは、トップアマまで上り詰めたゴルファーにはトップアマアなりの悩みがあるようだ。
そうした悩みを列挙すると、次の3つ絞られる。
- 1.エージシュートに挑戦する70代を過ぎるまでに「燃え尽き症候群」になってしまっている
- 2.トップアマには「飛ばし屋」が多いが、年齢とともに飛距離が落ち、そのショックがアベレージゴルファー以上に大きい
- 3.ひじや手首や腰などに故障を抱えているプレーヤーが多く、加齢とともに悪化してプレーに耐えられなくなる
40代のころからクラブチャンピオンになったり、関東アマなどに出場したりする人たちは、ある意味でプロ以上に練習している。もともと260ヤードを超えるような飛ばし屋たちが200ヤードしか飛ばなくなれば、どうしてもモチベーションは下がってしまうもの。先に挙げた1~3を総合すると、しのぎを削り合いながら腕を上げていくトップアマたちは、上達に欠かせない体力や筋力の衰えとともに、かつてのアスリート並みのパフォーマンスが維持できずに、現時点とのギャップに嫌気がさしてクラブを置く…。トップアマアだった人が、なかなかエージシュートを達成できずに苦労している理由は、どうやらそんなところにありそうだ。
エージシュートはゴルフの神様がくれた最後の贈り物
しかし、定年後からゴルフを本格的に取り組み始めたエージシューターたちは、その時点で「飛ばないこと」が前提であるために、飛距離のあるなしが必ずしも悲観材料にはならない。言い換えれば、エージシュートは若い頃のゴルフ経験に関係なく、歳をとってから横一線の「よーいドン」でスタートできる。まさしく“ゴルフの神様”がシニアゴルファーのために残しておいてくれた贈り物だと言ってよいかもしれない。
今現在、仕事に追われてゴルフが満足にできずにいる現役のサラリーマン諸氏は、焦る必要はない。若かりし頃にシングルプレーヤーで鳴らした後の悩みを知っていればこそ、自分の衰えを踏まえたうえでのゴルフスタイルを早く作り、長く健康であり続けていくことこそがエージシューターへの近道となろう。
では実際、菅さん自身は現時点で2回というエージシュート達成の現実をどのように見ているのだろう?
「まぁ、正直言ってもう少しは多く達成できるだろうと思っていました。でも現実には2回しかできていない。原因は、最初のエージシュートを達成した後、次もまたできそうだとラウンドの途中で変に意識するようになったためです。特に前半のハーフで30台が出ると『後半はいくつで回ればいい』と、無意識のうちにスコアを計算するようになった。結果、体の変なところに力が入って、寄せやパットのショートゲームが思うようにいかなくなる。とりわけパットの打ち損ないが多いんです。あと1打、2打オーバーするスコアがすごく多い。ショットはまったく問題がないのに、パットが届かなくてスコアをまとめきれないでいるのです」(菅さん)
この心理、上がり2ホールをパーとボギーならば…と“タラレバ”を計算した途端に大崩れするアベレージゴルファーと同じではないか。ハンデ2を誇ったトップアマの菅さんでもこうなのだから、ゴルファーはみな同じことをやっているということか。