ゴルフを嗜む者であれば、生涯に一度は経験したいことが3つあるとされる。「ホールインワン」「アルバトロス」、そして「エージシュート」だ。偶然などによってもたらされることが多いホールインワンなどとは違い、自分の年齢よりも少ない数字のスコアで回るエージシュートは、真の腕前だとされる勲章の1つ。そして何より、70代、80代、90代…でゴルフができる「元気の証」でもある。ゴルフを始めた経緯も、その人生も様々。現役エージシューターから学ぶ「体のこと」「ゴルフの極意」をお届けする。
最高ハンデ2、クラチャン6回でもエージシュートは2回のみ
40歳代にして最高ハンデが2(現在のハンデは11.2)までになった菅丈夫さん(77歳)だが、実はこれまでにエージシュートを達成した回数は2回である。
初めてエージシュートを達成したのは2012年6月16日のこと。74歳のときにハーモニーヒルズGC(栃木県・6179ヤード)においてIN35・OUT38のスコア73だった。2回目は今年2月22日にザ・ロイヤルオーシャン(茨城県・6300ヤード)で、IN39・OUT37の76で回り達成している。
シングルプレーヤーになることはもとより、エージシュートを達成することは全ゴルファーの憧れでもある。1回でも達成すれば、『持って瞑すべし』といっていい。しかし、ハンデ2まで上り詰め、かつ所属しているコースでシニアチャンピオンを通算6回も取っている菅さんの腕前を思えば、エージシュート2回とはやや物足りない気がする。
その理由について菅さん自身の分析は後に綴るとして、実はエージシュートを達成している人を見ていると、若い頃にトップアマとして君臨していたゴルファーは意外に少ないのだ。
私はこれまで、ゴルフライターとしてゴルフ専門誌に寄稿する傍ら、全国のエージシューターを集めた「エージシュートゴルフ大会」を、九州で過去に4回開催しているが、そこに参加したエージシューターたちに話を聞くと、ほぼ7~8割の人が「本格的にゴルフを始めたのは定年後」だと答えている。この連載で過去に登場した3人のエージシューターを見ても、いずれも定年後にゴルフを本格的に始めた人たちだった。それは偶然でもなければ、無論、恣意的に選んでリストアップをしたからでもない。