マンガ『巨人の星』を髣髴(ほうふつ)とさせる練習ぶり
練習場以外でも、練習ができる場所を見つけては研鑽を積んだ。たまたま自宅近くに家が建っていない階段状の造成地がたくさんあり、そこでアプローチの練習を繰り返した。また、SW(サンドウェッジ)と9I(アイアン)を持ち出して、自宅からすぐに行ける湘南の茅ヶ崎海岸を訪れてバンカーショットの練習をした。
「波打ち際の湿った重い砂、海から離れたふわふわの軽い砂と、場所を変えて両方の砂質の練習をしました」(菅さん)
練習は、雨が降っても風が吹いても欠かさなかった。
「雨が降ると、雨中のラウンドの練習になるからとカッパを着て庭で素振りをし、それだけでは物足りずに家の中でも練習しました。広げた毛布を鴨居から吊り下げ、それを目がけてアプローチの練習をした。体が空いていれば常にクラブを握っていましたね」(菅さん)
まるでマンガ『巨人の星』を髣髴(ほうふつ)とさせる練習ぶりではないか。
コースに出るのも最初のうちは年間50ラウンド程度だったが、月例競技に参加するようになった3年目からは平均して年60~70ラウンドになる。ラウンド後は、その足で必ず行きつけの練習場に立ち寄って練習をした。
スイングで大事なのは、体の回転でも体重移動でもない
しかし、菅さんのような練習をこなしても、スイングが悪かったり、練習法が間違っていたりしたら上達はおぼつかない…という現実もある。
菅さんの場合、普段の練習に加えて、指導者にも恵まれていたことが上達の一因ともいえるかもしれない。
「下のお名前は失念してしまいましたが、いつも行く練習場に遠藤さんという森憲二プロのアシスタントプロをしていた人がいて、スイングの基本を教えてくれたのです」(菅さん)
その基本というのが、あまりにも簡単なので紹介したい。次のページでご紹介する写真を見ながらイメージしてほしいのだが、菅さんによれば、「スイングで大事なのは、体の回転でも体重移動でもない。(右利きの場合は)左ひじを伸ばしたところがトップで、そこから右ひじを伸ばしたところまでをいかにしっかり振るか」だという。
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