ゴルフを嗜む者であれば、生涯に一度は経験したいことが3つあるとされる。「ホールインワン」「アルバトロス」、そして「エージシュート」だ。偶然などによってもたらされることが多いホールインワンなどとは違い、自分の年齢よりも少ない数字のスコアで回るエージシュートは、真の腕前だとされる勲章の1つ。そして何より、70代、80代、90代…でゴルフができる「元気の証」でもある。ゴルフを始めた経緯も、その人生も様々。現役エージシューターから学ぶ「体のこと」「ゴルフの極意」をお届けする。
エージシュートの達成はまだ2回にしか過ぎないが…
ゴルフは楽しい。そして何歳になっても楽しめる。しかし、それはある程度のスコアで回れたらの話だろう。スコアにこだわらない楽しみ方もないわけではないが、初心者ならともかく10年以上もゴルフをしていて100を切れないようでは真の楽しみは味わえないともいえる。
ゴルフは、中高年から始めても練習次第でそれなりのスコアでは回れるようになるし、努力が比較的早く結果となって表れるスポーツでもある。今回は、ゴルフを始めて短期間でシングルになり、77歳になった今もその力を維持するために努力を続けているエージシューターをご紹介しよう。
実は、菅さんのエージシュートの達成はまだ2回にしか過ぎない。しかし、これからシングルプレーヤーを目指したい中高年の人、ゆくゆくはエージシュートを達成したいと思っている仕事引退組の人、そして、現在シングルプレーヤーで鳴らしている人、すべてのアマチュアゴルファーにとっても、大いに役立つ話が満載である。
かつての趣味は磯釣り、夏場の閑散期に全国を巡っていた
東京都内で空調機器の製造施工会社を共同で経営する菅丈夫さん(77歳)が、ゴルフを始めたのは1974年、35歳のときだった。
北海道・浦河町で1938年4月2日に生まれ、高校を卒業すると同時に上京した。電熱器製造会社に就職して6年目に先輩と一緒に独立した菅さんは、会社を設立した当時、営業担当専務として忙しく働いていた。それまでの趣味といえば、磯釣り一筋。ゴルフには見向きもしなかった。
「今でこそ空調会社というのは冷暖房の両方を手掛けますが、当時は、冷房は冷房専門、暖房は暖房専門の会社に分かれていたのです。私がやっていたのは電熱器を使った暖房専門の会社。寒くなる季節は忙しいけれども夏は暇なんです。そのときに覚えたのが釣りで、夏になると全国各地の磯釣りの名所に出かけていました」(菅さん)
