「とにかく毎日クラブを握る。スポーツジムは5年ほどでやめましたが、インドア練習場には、今も欠かさず毎日通っています。インドア練習場は距離がなくて打球の飛んでいく先がわからないから練習にならないという人がいるけど、そんなことはありません。打球が10ヤード先のネットに当たった音で、弾道の強さや右にいったかどうかが分かるのです。同時に毎日続けることで、スイングに必要な筋力を維持できる。歳を取ってからのゴルフで一番大事なのは筋力低下をどう防ぐかということ。ですから、私にとってはインドアでも十分練習になるのです」(金子さん)
70歳で初のエージシュートを達成してハンデ3に
インドアの練習場は自宅からクルマで5分。ビルのなかにあって冷暖房完備で、雨が降ろうと風が吹こうと関係なく練習できる。料金は月1万5000円で打ち放題。金子さんは毎日1時間半かけて250球をウエッジからアイアン、フェアウエーウッド、ドライバーと打っていき、最後にウェッジに戻ってやめるパターンを繰り返す。
「それでも半分以上がウェッジの練習です。ウェッジはヘッドの重さを指先に感じながらゆっくりストロークするので、打球の回転がわかる。ボールが落ちてからどっちにキックしたかはわからなくても、打ったときの感触でスピンのかかり具合はわかります」(金子さん)
そうした努力は、やがて結果となって実を結んだ。
リタイアして2年後の60歳で念願のシニアチャンピオンになり、65歳までに3回のホールインワンを達成した。64歳からは6年連続でクラブ代表に選ばれ、神奈川県下のゴルフ場のクラブ対抗戦に出場。さらに68歳で2回目のシニアチャンピオンに輝き、翌年はスクラッチ選手権でも優勝を果たす。
こうして70歳になった年の8月3日、先と同じスクラッチ選手権でIN34・OUT34の68という快スコアを出して初めてエージシュートを達成した。その余勢を駆って翌月のグランドシニア選手権でもIN34・OUT36の70でエージシュートを達成し、グランドシニアチャンピオンになる偉業を成し遂げたのだった。
「ハンデは70歳のときに最高3になりました」(金子さん)
リタイアするときに掲げた3つの目標はすべて達成したことになる。
「ハンデ3になったことに加えて、70歳でエージシュートを達成できたのは嬉しかった。エージシュートは生涯に一度は実現したいと思っていたのですが、それが70歳でできたというのはまったくの予想外。公式戦だからクラブハウスのボードにも永久に名前とスコアが刻まれることになり、これはすごく嬉しくて誇りに思いましたね」(金子さん)
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