ゴルフを嗜む者であれば、生涯に一度は経験したいことが3つあるとされる。「ホールインワン」「アルバトロス」、そして「エージシュート」だ。偶然などによってもたらされることが多いホールインワンなどとは違い、自分の年齢よりも少ない数字のスコアで回るエージシュートは、真の腕前だとされる勲章の1つ。そして何より、70代、80代、90代…でゴルフができる「元気の証」でもある。ゴルフを始めた経緯も、その人生も様々。現役エージシューターから学ぶ「体のこと」「ゴルフの極意」をお届けする。
昨年、熱帯のタイでもゴルフを5連チャンでラウンド
年間150ラウンドを61歳のときから30年も続けている植杉乾蔵さん(91歳)は、周囲から畏敬の念を込めて「万年青年」とか「怪物」「化け物」と呼ばれている。年間150ラウンドといえば、ほぼ1日おきにコースに出る計算だ。(前回記事:「エージシュート1300回、“球磨の怪物”は91歳!」)
もちろん、予定していたラウンドが雨で流れたり、急な冠婚葬祭が入ったりしてキャンセルすることもある。そんなときには3連チャン、4連チャンでゴルフをしないと、年間150ラウンドには到達しない。それを植杉さんはやり続けてきた。
昨年、ゴルフ旅行でタイに行ったときは1週間で5連チャンしたという。90歳なのにである。「万年青年」「怪物」はともかく「化け物」は言いすぎだろうと思っていたが、1週間で5連チャン、それもあの暑い熱帯モンスーン気候の下でのプレーというのだから「化け物」という譬えがあながち大げさでないことがわかるだろう。
40歳当時についたあだ名が「三日月さん」
しかし、植杉さんは若い頃から頑健な体をしていたわけではないそうだ。むしろ若い頃は病弱で、身長は165㎝なのに、体重は48㎏しかなかったという。
「海軍機関学校に在籍していた頃は心身ともに丈夫そのものだった。ところが、兵隊から帰ってからは目標がなくなって心神喪失のような状態が長く続いた。40歳くらいまでは胃腸が弱くて食が細く、食べ過ぎると下痢をする。かぜをよくひいて、しょっちゅう医者通いをしていました」(植杉乾蔵さん)
