ゴルフを嗜む者であれば、生涯に一度は経験したいことが3つあるとされる。「ホールインワン」「アルバトロス」、そして「エージシュート」だ。偶然などによってもたらされることが多いホールインワンなどとは違い、自分の年齢よりも少ない数字のスコアで回るエージシュートは、真の腕前だとされる勲章の1つ。そして何より、70代、80代、90代…でゴルフができる「元気の証」でもある。ゴルフを始めた経緯も、その人生も様々。現役エージシューターから学ぶ「体のこと」「ゴルフの極意」をお届けする。
91歳!! エージシュート1千300回超の記録を今も更新中
自分の年齢以下のスコアで回るエージシュートは、1回達成しただけでも周りのゴルファーからリスペクトされる。理由の1つは、体力の衰えが顕著になる70代半ばにならないと、エージシュートがなかなか達成できないからだ。そんな年齢との戦いを強いられるエージシュートを通算1300回以上も達成(6月23日現在1311回)し、今なお記録更新中のゴルファーがいる。
植杉乾蔵さん、91歳。球磨焼酎で有名な熊本県人吉市が生んだ“スーパー翁”、究極のアンチエイジングゴルファーだ。
「なあに、エージシュートは歳をとれば誰でもでくっとですよ」(植杉乾蔵さん)
植杉さんはさも当たり前のように、笑っていう。確かに、年齢が上がるほどエージシュートを達成する可能性は高くなる訳だが、「歳を取れば誰でも…」というわけではないことは、改めて言うまでもない。
植杉さんのエージシュートの記録は「コース名」「同伴競技者名」とともにパソコンで克明に記録されているが、1300回の内訳を年齢別にみると、初めてエージシュートを達成したのが71歳のとき。100回に到達したのが79歳、200回は81歳。さらに、85歳からは毎年100回以上のエージシュートを続け、91歳で1300回に到達している。100回に到達したのが丸8年かかったのに対し、次の100回はわずか2年、そして残りの1000回を10年間で達成している。
言葉の意味は違えども、文字通り“歳の功”といえるだろう。
