ゴルフを嗜む者であれば、生涯に一度は経験したいことが3つあるとされる。「ホールインワン」「アルバトロス」、そして「エージシュート」だ。偶然などによってもたらされることが多いホールインワンなどとは違い、自分の年齢よりも少ない数字のスコアで回るエージシュートは、真の腕前だとされる勲章の1つ。そして何より、70代、80代、90代…でゴルフができる「元気の証」でもある。ゴルフを始めた経緯も、その人生も様々。現役エージシューターから学ぶ「体のこと」「ゴルフの極意」をお届けする。
85歳になっても年間ラウンド数は70回を超える
これまでに通算350回のエージシュートを達成し(前回記事:「『庶務課の仕事』で知り合った終生のゴルフ仲間」)、今も記録を塗り替えている大久保和男さん(85)。その挑戦の足跡を振り返ると、エージシュート達成への近道が見えてくる。
ゴルフのエージシュートは、「6000ヤード以上の18ホール」で達成されたものというのが共通の認識だ。しかし、その規定はいつ、誰が決めたのかとなると途端に曖昧になる。実はエージシュートについては、「ゴルフの総本山」といわれルール改訂などの決定権を持つ英国R&A(ロイヤル・アンド・エンシェントゴルフ・オブ・セントアンドリュース)もUSGA(全米ゴルフ協会)も全く関与しておらず、従って、実態は明文化なき規定ということになる。
冒頭にこんなことを説明したのは他でもない。大久保さんの350回のエージシュートのうち、259回は仙台郊外の富谷パブリックコースで達成されたものだからだ。富谷パブリックは距離が4910ヤード。つまり、6000ヤード以上という規定には満たないコースなのである。
がしかし、だからといって大久保さんの350回の価値が下がるかというと、決してそんなことはない。大久保さんは85歳になった今も年間70回以上コースに出て、手引きのカートで歩いてラウンドしている。認めるべきはそのことなのである。同時に大久保さん自身は、「短いコースでエージシュートを出し慣れていたからこそ、6000ヤード以上の本コースでも楽にエージシュートが出せたのではないか」と振り返る。
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