代謝が低く太りやすい、肩や首の凝りがひどい、顔のたるみが同年代の人より目立つ、イライラ、うつうつした気分になりやすい──そんな悩みの背景に、「浅い呼吸」があるかもしれない。そこで、まずは「呼吸チェック」をしてみよう。
体の不調は「浅い呼吸」と密接に関わると考えられる
体と心にまつわるさまざまな不調に関係するといわれる「浅い呼吸」。呼吸のメカニズムをひもとくと、その理由が分かる。

「肺は、肋骨で囲まれた籠のような骨格『胸郭(きょうかく)』に包まれている。この胸郭が膨らんだり、縮んだりすることで肺は伸び縮みし、呼吸が行われる。呼吸が浅い人は、胸郭があまり膨らまない」と文京学院大学の柿崎藤泰教授はいう。ここに姿勢が大きく関わる。
「猫背で、胸郭が下向きになっていると、胸郭がうまく持ち上がらず、しっかり膨らませられない。また、そういった姿勢が続くと、徐々に胸郭が膨らみにくくなる」(柿崎教授)。猫背でパソコン作業をしていると、呼吸が浅くなっていると感じるのは、そのためだ。
この胸郭の動きには、「呼吸筋」が関わる(2ページ目のイラスト参照)。浅い呼吸だと、胸郭の動きと連動する腹筋群や肋間筋(ろっかんきん)をはじめ、僧帽筋(そうぼうきん)といった体幹部の筋肉がしっかり使えていないわけだ。これらのことから、呼吸は、姿勢の崩れや、首・肩の凝り、さらには代謝の低下などにも密接に関わると考えられる。
さらに、浅い呼吸は、心にも影響する。呼吸が浅いと、呼吸は早くなる。「呼吸のリズムと、脳の情動に関わる“扁桃体(へんとうたい)”の活動が密接だと分かってきた。呼吸が早いと、不安や緊張につながりやすい」と東京有明医療大学の本間生夫教授は話す。
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- 「呼吸」には多くの筋肉が関わる