「部下が五月病かも」と思ったとき…3つの対処法
第3回 求められる「適度な距離感」と「軽いアドバイス」
柳本 操=フリーライター
五月病の部下への接し方【3】「効果的な助言」より、ちょっと離れて相づち
古い昔から、「今時の若者は…」という言葉は変わらず存在するといわれる。現代の若者は、先で触れたような特徴を有するだけに、デリケートな扱いが求められる。対応も、より冷静に行っていく必要がありそうだ。
五月病になった部下の話を聞くコツとして、下園さんは、「まずは最初から最後まで、相手の言い分をまず一通り聞いてみる。『そうかそうか、そう思っているんだ』と話を聞くだけでも、カウンセリングの90%の仕事はほぼ終了します。それほど、相手の言い分を聞くことの効果は高いのです」と話す。
先輩の立場になると、「なにか効果的なアドバイスをしなくては」と気負ってしまいがちだが、実際には軽い助言のほうが良いという。
具体的には、
「オレも最初の3~4カ月はかなり悩んだけど、なんとかなったよ」
と、「なんとかなった」という「結果」を言う。
さらに、実務的な小さなアドバイスを2~3個伝えたら、最後は
「あと2~3カ月がんばってみようよ」
と、短い期間の提案をする。あと1年、などと長めの期間に設定しないことも、相手の負担を軽くするコツになる。
「この人を絶対に救うぞ、などと気負うと、相手にプレッシャーをかけてしまいます。ちょっと離れて見守るぐらいのスタンスでいることが、自分も共倒れしないために大切なことです。企業社会なのですから、100%面倒をみる必要はないのです。どうしても環境が合わないのであれば、会社を移ったほうが本人のためになることもあるのですから」
もし、医療機関に受診することになっても、「たまたま1回目でつまづいただけ。今のままでは走れないけれど、治療を受けて治ったら走れるよ」と、相手を責めずに状況を加味した声掛けをすると良いという。
どんなに強い人でも、五月病になったりうつ病になることはある。調子を崩しても、また立て直していけばいい、という気持ちを職場内で共有していけるといい。
東京大学環境安全本部 安全衛生管理部長・産業医

メンタルレスキュー・インストラクター
