「自分は五月病かも」そう思ったときの3つのNG
第2回 会社をどうする? 誰に相談? どう気分転換?
柳本 操=フリーライター
人事異動や入社など、環境が大きく変わる4月。そしてその環境にようやく慣れてきたころに出てくる「出社するのが辛い」「自分はこの職場に合わないんじゃないか」…というモヤモヤとした悩みや意欲の低下、体の不調は総じて「五月病」と呼ばれる。これまでは一過性のもの、とされてきたが、放置すると悪化し、仕事の意欲が低下したままになることも。今回はセルフケアについてまとめる。
「仕事が進まない」「集中力が続かない」

この春、金融業界からITベンチャー企業にキャリア採用で転職した36歳のBさん。転職先にはさぞや優秀なメンバーが揃っているのかと思いきや、周囲は全員、自分より年下だった。新規プロジェクトのリーダーを任されると聞いていたのに、頼まれるのは情報集めなどの雑用ばかりで「話が違うじゃないか!」と苛立ちが募った。
最近、夜あまり眠れず、日中も集中力が続かない。仕上げた資料に誤字が多く、同じプロジェクトのメンバーから、「Bさん、ちょっと手を抜かないでくださいよ」と言われて、よけいに腹が立つが、気分が沈み込んで会社への足取りが重い。
Bさんのように、毎日出勤はしているものの、意欲が落ちて仕事のパフォーマンスがじわじわと落ちていくのが五月病の初期サインだという。
東京大学環境安全本部教授で産業医でもある大久保靖司さんは、「以下のようなことを思い当たったら、自分は五月病かもしれないと疑ってほしい」とアドバイスする。
五月病セルフチェック
- 月曜日の出社前(もしくは日曜の夕方以降)になると憂鬱になる
- 仕事に興味が持てない
- 自分はこの仕事に合っていないのではないかと思う
- 周囲の同僚のように、仕事ができない自分がもどかしい
- 不眠気味で朝なかなか起きられず遅刻することが増えた
- わけもなくイライラする
五月病脱出のNG【1】安易な判断で会社を辞めるのはX
気分がうつうつして沈み込む「うつ病」と五月病の違いはどこにあるのだろう。
大久保さんは、「うつ病は意欲が低下し仕事がつらくなり、会社に行くことができなくなるなど、症状が比較的はっきりしています。一方、五月病では仕事がつらいというよりも、面白くない、興味が持てない、という思いが強く、なんとなく悩んでいます。前回(「知っていますか? 五月病とうつ病の違い」)も紹介した通り、自分を責めるうつ病と比べると、自尊心はある程度高く、『できない自分のことを認めたくない』と思う傾向も強い」と話す。
職場で思うようにパフォーマンスを出せない自分にもどかしさがつのって、仕事をやめよう、と決断したくなる人もいるはずだ。しかし、「落ち込んだ状態のときは、正常な判断ができなくなっています。このようなときには会社を辞めるという決断はしないほうがいい。無理に自分だけでふんばろうとせず相談すれば、しんどい時期を短縮することができ、浮上できることが多い」と大久保さん。
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