中村紘子「ちょっと変だけど、がんになった自分を楽しんでいる」
がんになってから「ますますパワフル」と観客から手紙も
中村紘子=ピアニスト
ピアニストの中村紘子さんは、2014年2月に腸閉塞の手術を受けたときに、大腸がんが発見されました(前回インタビュー:「がんが治っても、ピアノが弾けなくなるのは困る」)。手術で取り切れないがんと、抗がん剤治療で闘いながらもポジティブに生きる姿には、とても驚かされます。その素直で前向きな考え方を、詳しく伺いました。(インタビュー収録日:2015年7月27日)
「新薬の認可まで2年かかるなら、あと2年間生きていればいい」
今の主治医は、ピアノを弾き続けるように勧めてくださっているんですね。

中村 そうなんです。演奏会に合わせて抗がん剤の治療スケジュールも考えてくださって。そういうところは、とてもフレキシブルです。先生は基本的に、私にできるだけ長く弾き続けてほしいと考えてくださっているようです。
とてもお忙しい先生で、海外の学会に出席するために飛び回っていらっしゃるんですね。その先生がおっしゃるには、大腸がんへの効果が期待されている抗がん剤があるそうです。新たに開発されている薬がまだ治験中で、認可されるまで2年はかかるだろうと。でも、だったら、あと2年間生きていればいいんですよね。
「深刻じゃなくてね、どこか不真面目なの」
すごい。とても前向きな考え方をされるのには、驚きます。

中村 私は前向きじゃないですよ。ちょっと誤解を招くかもしれないけれど、今までなかった体験をしているので、がんになった自分をとても興味深く受け止めているんです。
病気自体はもちろん、治療もけっこう痛いんですよ。痛かったり苦しかったりするんだけれど、面白い。だから、ちょっと変かもしれないけれど、がんになったことを楽しんでいるというか。こうするとどうなるかなとか思って、それで民間療法までいろいろ試しちゃったりして。ちゃらんぽらんで、いけないですよね。
ご自身の病気に対して、好奇心を持っておられる。
中村 そうそう。深刻じゃなくてね、どこか不真面目なの。
不真面目ではないですよ! すばらしいです。
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