天野慎介「全国がん患者団体連合会を設立した理由」
高額な医療費の負担など、課題は山積している
天野慎介=一般社団法人 グループ・ネクサス・ジャパン理事長、一般社団法人 全国がん患者団体連合会理事長
がんの病状は個人差が大きく、治療法が複数あり、さらに患者一人ひとりの価値観も異なります。がんと診断された直後から、患者は自分の病気を理解し、さまざまな情報を取捨選択する人生が始まります。自身も肺がん患者である、日経BP社の山岡鉄也が、がんと向き合った人々に話を聞き、後悔しない人生を送るためのヒントを紹介していきます。
15年前、27歳で悪性リンパ腫を発症した天野慎介さんは、2度の再発にともなう闘病経験を生かし、全国のがん患者会を束ねる「全国がん患者団体連合会」を今年5月に設立しました。その背景には、「がん患者に対する差別や偏見をなくしたい」「病院による治療の質の差を是正したい」という思いがありました(1回目インタビュー:「私だって好きでがんになったのではない」、2回目インタビュー:「病院によって、がん治療の質の差はまだあります」)。
目指すは「がんになっても、安心して暮らせる社会づくり」
天野さんは今年5月、「全国がん患者団体連合会(以下、全がん連)」を設立し、理事長に就任されました。経緯をお聞かせください。

天野 がん治療や、がん患者を受け入れる社会体制に対して、要望はたくさんありますが、特に、「がんになっても、安心して暮らせる社会づくり」については、厚生労働省のがん対策推進協議会委員のときから、こだわっています。来年、がん対策基本法が制定10年目を迎えるにあたって、今年初め、超党派の国会議員連盟「国会がん患者と家族の会」の総会で法改正について話し合ったことが、その後の具体的なアクションにつながりました。
法改正の議論を実りあるものにするためには、それぞれの患者団体から個別に要望を出していくだけでは不十分と考えました。このため、会の活動は「政策提言」を重視しています。患者の立場から、第3期がん対策推進計画案へ提言していきたいと考えています。
発足してすぐの6月には、「がん対策基本法の改正に関する要望書」を全がん連に加盟する24団体で、国会がん患者と家族の会、および、国会議員の方々、厚生労働大臣に提出しました。
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