動画を活用! 理想のランニングフォームでケガと痛みを防ぐ
第7回 読者のランナーの悩みに、アディダスランニングアドバイザーが回答
「脚」と「骨盤」が連動しているかどうかをチェック
全身を撮影した動画で上半身の改善ポイントをチェックしたら、次のステップでは、「脚の運び方」にフォーカスした映像でフォームの分析をしていきましょう。ここではどんな点をチェックすればいいのでしょうか。
Q.2

つま先がどうしても外を向いてしまいます。直す方法はありますか?
(奥村嘉博さん 42歳 ランニング歴:2年5カ月)

ランニングをしていると足腰に痛みが出ます。特にふくらはぎに疲れが残り、腕の疲労も感じます。
(西内宮佳江さん 43歳 ランニング歴:2年6カ月)
A.2
ランニングでは「股関節」を使って走ることが大切だと前回でもお伝えしましたが、一般ランナーを指導していると「太もも」「ふくらはぎ」「足裏」といった部位に意識を向けてしまいがちです。つまり、「脚だけ」で走ってしまう人が多いのです。「脚の筋肉だけを使っている」とも言い換えられるかもしれません。
そうした走り方が癖づいていると、股関節から脚を十分に動かせず、歩幅が小さくなり、結果的にちょこちょこしたフォームになってしまいます。たしかに「ピッチ走法」という歩幅を小さくして走るテクニックはありますが、実はアスリートや一般の上級ランナーがそれで走っていたとしても、決して「脚だけ」で走っているわけではありません。
動画で脚の運び方をチェックするときには、脚と一緒に「骨盤」が左右交互に前へ動いているかに着目してみましょう。
もしも、脚だけしか動いていなければ、肘をしっかり後方に向けて引く「腕振り」を意識しましょう。腕振りを大きくすることで、骨盤と脚部とをつなぐ腸腰筋が使えるようになり、結果的に脚をスムーズに引き上げられるようになります。さらに、足裏が地面に「着地」してから後ろに「蹴り出す」ときにかけて、股関節に体重をしっかりかけられるようになれば、理想的なフォームに近づきます。
この時、無理に脚を前に振り出すのではなく、股関節から脚を振りだすようにして、自然な歩幅で着地できればいいと思います。着地点が体から離れすぎると、地面にかかとを着く位置が定まらず、それに連動して足先が内や外に向きがちになります。こうなると、先ほども指摘した体の「上下動」も大きくなってしまうのです。
また、後ろに向けて脚を「蹴り出す」ときは、意識して強くする必要はありません。腕振りの力を「骨盤から股関節を通して脚に伝える」ようにしていけば、自分の体形に合ったスムーズな脚運びと歩幅、蹴り出しに整ってきます。