動画を活用! 理想のランニングフォームでケガと痛みを防ぐ
第7回 読者のランナーの悩みに、アディダスランニングアドバイザーが回答
全身を撮った動画を再生するときには、大きく3つのポイントに注意して自分のフォームを観察してみましょう。まずは、「腰が高い位置に保たれているかどうか」。もしも、腰が落ちたフォームで走っていたら、骨盤がかなり前傾または後傾しすぎている可能性があります。こうなると体を前に進ませるために余計な力が必要になり、効率が悪く、疲れやすい走り方になります。骨盤は少しだけ前傾させるぐらいに立てて、腰を落とさずに走るよう心がけてください。
次は、「猫背になっていないか」をチェックしてみましょう。背中が丸まったままで走ると、前回の記事でもアドバイスしたように「肩甲骨を動かして腕を振る」ことが不足してしまいます。上半身で生み出した力を走力につなげられないために、こちらも非効率的な走りになります。また、先に触れた腰の位置も高く保てなくなります。背すじを伸ばし、上半身を柔らかく保つことを心がけるように修正していきましょう。
そして最後に、体の「上下動」に目を向けてみましょう。読者ランナーの吉田裕子さんの質問にあった「ドタドタした走り」というのは、恐らく体の「上下動」が大きくなっていることだと推測されます。動画で全身の動きをチェックするときには、「頭の位置がほぼ変わらないままで走れているかどうか」に着目してみます。
もしも、大きく跳ね上がるように走っていたら要注意です。着地したときの衝撃で体への負担が大きくなるため、特に足首、膝、腰などを痛めやすくなります。それを防ぐためには、上半身をぶらさずに頭の位置を一定に保つことが肝心。先でも触れましたが、両肩の端を結んだ水平の線と体幹の軸で作る「T」の字を崩さないように、普段の練習から意識して走り続けましょう。フォームが修正されてくると、無駄な動きがなくなり、上下動の少ないスムーズな走りに変わっていきますよ。
こうした動画を使ったチェックは、実際に安喰コーチが主催する会員制ランニングチーム「Harriers(ハリアーズ)」でもお薦めしている方法だといいます。安喰コーチの話を総合すると、「きれいなTの字を保ったフォームで走れること」が理想的なようです。市川圭一さん(34歳)の悩みにあった「フォームが前のめりになっている気がする」という悩みも、これで解消できるはずです。