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宴会の胃もたれ・胸焼け予防術 就寝時は左半身を下に

症状に応じて市販薬/何回も吐いたら受診を

 日本経済新聞電子版

忘年会や新年会などが相次ぐ年末年始にかけては、食べ過ぎや飲み過ぎで内臓に負担がかかりがちで、胃の調子を崩す人が多くなる。不快な胃もたれや胸やけを防ぐ方法や対処法、受診する目安を知っておこう。

写真はイメージ=(c)PaylessImages-123RF

 パーティーや飲み会で盛り上がると、思わず箸や杯が進む。度が過ぎたとき、次の日に起きやすい代表的な症状が胃もたれ胸やけだ。

 胃に入ってきた食べ物は通常、2~3時間で消化され、十二指腸に送られる。ところが「暴飲暴食をすると胃の働きが悪くなり、翌朝でも食べ物が消化されずに残っていることがある」と慶応義塾大学医学部医学教育統轄センターの鈴木秀和教授は話す。胃の中にいつまでも食べ物が残っている状態が胃もたれだ。

 胃に残る食べ物は胸やけも招く。食べ物が胃にある間は胃酸の分泌が続く。食道の下部にある括約筋が緩むと、胃酸が食道に上がってきて、胸やけの原因になる(胃食道逆流症)。食べすぎに加え、「大量のアルコールや高脂肪食でも括約筋が緩みやすくなる」(鈴木教授)。慢性化すると、食道に炎症ができることもある(逆流性食道炎)。

 二日酔いで吐き気を感じるのは、飲み過ぎで胃に軽い炎症が起きるため。アルコールの分解過程で発生するアセトアルデヒドにも、頭痛や吐き気をもたらす作用がある。

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 不快症状を起こさないためにどうするか。宴席の前に牛乳を飲んでおくと、胃粘膜の保護になるうえ、「胃が消化の準備の活動を始めるきっかけになるので悪くない」(鈴木教授)。

 料理はよくかんで、ゆっくり食べよう。唾液の分泌が増えて胃の負担が軽くなる。満腹感が早く得られるため、食べ過ぎを防ぐ効果もある。

 お酒の飲み方にも気を配りたい。「ウイスキーなど度数の高い酒をストレートで飲むと、胃や食道の粘膜障害を起こすのでよくない」と鳥居内科クリニック(東京・世田谷)の鳥居明院長は注意を促す。飲み過ぎの予防には、ゆっくり飲むことが大切だ

 アルコールには脱水作用があるため、日本酒やワインを飲むときも水を一緒にとりたい。体内のアルコール濃度が薄まり、悪酔いも避けられる。

 飲食の後に時間をおかずに眠ると、胃の消化活動が止まり、胃もたれを招きやすい。雑炊やラーメンなど、シメの炭水化物は控えて、翌日の楽しみに取っておこう。

 横になることで、胃食道逆流症も起こしやすくなる。寝るときは「体の左側を下にすると、胃液のたまる位置が食道より低くなって、食道への逆流が起きにくくなる」(鳥居院長)。

 目覚めて二日酔いだと感じたら、とにかく水を飲む。「スポーツドリンクは吸収がいいが、糖分が多めになる。水かお茶がいい」(鈴木教授)。胃酸が食道に上がるのも抑えてくれる。食欲がないと感じたら、無理に朝食をとる必要はないという。

 胃もたれや胸やけの症状がつらい場合は、市販の胃薬の利用も検討したい。胃の働きを良くする健胃薬、胃酸を中和して胸やけの症状を抑える制酸薬、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーなどがある。薬剤師に相談するなどして、症状に応じた薬を選ぶ。

 症状が重い場合は医療機関へ。「何回も吐いている、血を吐いた、丸一日経っても症状が続く、といった場合は受診して」と鈴木教授は話す。

 胃もたれや胸やけは、日ごろの生活習慣とも無縁ではない。ストレスは胃の働きを悪くして胃もたれを起こしやすくするし、内臓脂肪が多いと胃が圧迫されて胃食道逆流症の原因になる。日ごろから胃を健やかに保ちつつ、飲み会は節度を持って楽しむことを心がけよう。

(ライター 伊藤和弘)

[NIKKEIプラス1 2018年12月8日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「健康づくり」からの転載です。