日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > トピックス from 日経電子版  > うつ病を磁気刺激で治す 「rTMS療法」薬事承認  > 2ページ目
印刷

トピックス from 日経電子版

うつ病を磁気刺激で治す 「rTMS療法」薬事承認

副作用少なく、3割強に効果

 日本経済新聞電子版

 うつ病患者へのrTMS療法は、磁場をパルス状に連続発生させるコイル装置を患者の頭部に近づける。磁場の働きで生じた渦電流が頭蓋骨の内部まで到達して脳神経細胞に働きかける。うつ病患者の多くは、脳の左前方領域の機能が低下し、神経細胞間で情報を伝えるドーパミンなどの神経伝達物質の分泌が弱くなっている。磁場によって脳を繰り返し刺激することで、こうした神経の働きが改善されるという。

[画像のクリックで拡大表示]

 治療期間は通常4週間から6週間。1秒当たり10回の磁気パルス刺激を1日1回40分程度、週5日実施する。患者は入院または通院しながら治療を受ける。磁気刺激の過程で頭部の痛みや不快感を覚える人もいるが、治療を続ける中で痛みなどは軽くなっていくという。

 磁場を発生させるため、刺激部位付近に人工内耳やペースメーカーなどの金属がある場合は治療をさける。また、まれにけいれんを誘発する場合があるので、このリスクを考慮した治療計画を立てる。

 鬼頭氏によると、国内でのこれまでの臨床研究では、患者の36%がうつ病の症状がほぼ消える「寛解」となった。寛解患者の6割は治療効果が持続する一方、3割程度は症状が再発したという。

 患者の中には、Aさんが最初の職場復帰後に仕事のミスに悩んだように、認知機能の低下がうつ症状改善後も残り、これがうつ病再発のきっかけになることもある。認知機能障害を軽減することが、復職の成否にも影響する。

 鬼頭氏は「rTMS療法では注意障害や遂行機能障害などの副作用は生じず、むしろ認知機能が治療後に改善したという報告が多い」と説明する。

 17年9月、薬物療法が効かない症状が中等症以上のうつ病患者向けにrTMS機器が薬事承認された。ただこの治療を受けられる医療機関はまだ限られており、治療設備の導入と治療に習熟した医師を養成するのが課題だ。鬼頭氏は「治療ガイドライン作りや医師向けの研修を進め、rTMS療法の裾野を広げたい」と話す。

rTMS療法 米では08年に認可 電気けいれんと補完的効果も

 脳を磁気によって刺激するrTMS療法は、脳卒中の後遺症で手足がまひした患者へのリハビリ効果を高めることにも利用されている。うつ病の治療には米国で2008年に認可され、13年には脳のより深部を刺激できる「ディープTMS」による治療も始まっている。

 うつ病を対象とした脳刺激による治療としては「電気けいれん療法」が普及している。電気けいれんは、精神病症状を伴ううつ病には効果的で「rTMS療法と補完的に使える」(鬼頭氏)という。また、rTMSを応用してけいれんを誘発させる「磁気けいれん療法」は、通常の電気けいれん療法と比べ副作用が少ないという報告があり、新たな治療法として検討されている。

(編集委員 吉川和輝)

[日本経済新聞夕刊2017年11月30日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療 」からの転載です。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.