中高年、運動前はストレッチ ラジオ体操も効果的
昔やった競技こそ注意 ラジオ体操も効果的
日本経済新聞電子版
運動後もケアを
運動による関節などへの負担を軽減するには、筋力をある程度つけておく必要もある。ただ、いきなり高負荷のトレーニングは難しい。関節に痛みがあるような場合には「静的トレーニング(アイソメトリック)が効果的」と松本教授。
アイソメトリックとは、関節を動かさず、筋肉だけを収縮させる筋トレ法のことをいう。壁や床を利用して鍛えたい筋肉に力を入れたり、自分の両手を合わせて力を入れて押しあったりする方法だ。
一方、「足首のねんざなどを防ぐには、座って床にかかとをつけた状態でつま先を上げ下げしたり、立ってかかとを上げ下げしたりし、足首回りの筋力をアップさせるといい」と洞口講師。筋力の衰えた中高年でも、問題なく取り入れることが可能だという。
運動前に体を温めるなどケアをする人は多いが、運動後のケアは忘れがち。運動後のストレッチは筋肉痛を軽減する。また「マラソンなど膝に大きな負担がかかる運動後は、痛みがなくても氷のうをあてて20分程度冷やす。ただし、冷やすのは直後だけ。普段はお風呂などで温めるとよい」(洞口講師)と助言する。
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競争心にあおられない
スポーツの思わぬ落とし穴が「運動のしすぎ」だ。特に多いのがランニングやマラソン、ジムのウエートトレーニング。ランニングでは、骨盤からスネの外側までのじん帯と膝の外側の骨がすれて炎症を起こすランナー膝になりやすい。疲労骨折を起こすこともある。ウエートトレーニングでは重りが重すぎたり、頻度が多すぎたりで、大胸筋が肉離れすることも。
「マラソンやウエートトレーニングでは、ついつい競争心をあおられ過度に運動しがち。無理の無いトレーニング計画を」と洞口講師。運動量は徐々に増やすことが大切。「過剰な運動はかえって体の負担になる」と警鐘を鳴らしている。
(ライター 武田 京子)
[日経プラスワン2016年11月12日付]