頭のかゆみ、ヘアケアが原因?
アレルギーに注意
日本経済新聞電子版
仕事で徹夜が続いたり、風邪で2~3日入浴できなかったりしたときなどに、ひどく頭がかゆくて困った経験は誰にでもあることだろう。しかし、仕事の集中力を損ねるほどのかゆみが頻繁にあるならご用心を。実は体質に合わないヘアケア製品が原因かもしれない。
頭皮トラブルに詳しい帝京大学溝口病院(川崎市)皮膚科の清佳浩教授は、頭のかゆみの原因は「皮脂の分泌」「アレルギー」「その他の病気」に分けられるという。
まず、ごく一般的な洗髪できなかったときのかゆみ。原因は頭皮の毛穴から分泌される皮脂だ。皮脂は時間とともに過酸化脂質へと変化し、頭皮に刺激を与える。清教授は、「誰でも4~5日頭を洗わなければかゆみを感じる」と指摘する。
こうした皮脂の影響を特に受けやすいのが脂漏性皮膚炎という体質のある人である。毛髪がベタベタしやすく、鼻筋などの顔面や前胸部などでも皮脂分泌が活発なタイプだ。しかも、皮脂が多いだけではなく「その性質も頭皮に炎症を起こしやすいように変化している」と清教授はいう。
カビで症状悪化
こうした脂漏性皮膚炎タイプの症状を悪化させる要因が、誰の皮膚にもすんでいるカビの仲間、マラセチアだ。脂肪を栄養にして繁殖する菌で、脂肪を分解してつくる分解物も皮膚の刺激となる。脂漏性皮膚炎の人は、一般の人よりこの菌が多いとされ、よりいっそう頭がかゆくなりやすい。
このかゆみの対処法は毎日の洗髪だ。それでも強いかゆみがある場合は、マラセチアの量が多い可能性がある。調べるには皮膚科での顕微鏡による診断が必要だが、検査をしている医療機関が近隣にない場合は、ミコナゾール硝酸塩などの抗真菌剤を配合した市販のシャンプーを使ってみるといいだろう。
頭のかゆみとして実は多いのは「アレルギー」だという。かぶれともいわれる。アトピー性皮膚炎があるなど、アレルギー反応を起こしやすい体質の人は、様々な物質による皮膚の炎症に悩まされることがある。
菊池皮膚科医院(東京・荒川)の菊池新院長は「使っているシャンプー、リンス、ヘアトニックなどが原因のことも多い。なかには、かゆみ予防に使っていた抗真菌剤シャンプーが原因のこともある」と話す。様々な生活用品の中でも、最も症状が強く出るのが毛染め(ヘアダイ)だという。
ある中年女性が強い頭皮のかゆみのほか、全身の皮膚が赤くなるなどの症状を訴えてきたという。何にアレルギーを示すか調べたところ、毛染め剤の主成分に反応した。本人は「20年も使っているから、それが原因であるはずはない」と信じられない様子だった。だが、毛染めをやめて染めた毛を切ると、全身の症状も消失したという。
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