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年1万人増加、命縮める心不全 努力次第で予防できる

 日本経済新聞電子版

高齢化に伴い心不全になる人が増えている。心機能が徐々に悪化し、そのままにしておくと入退院を繰り返しながら命を縮める。どのような病気なのかしっかり認識し、生活習慣の見直しなど適切に予防したい。

写真はイメージ=(c)Olga Yastremska-123RF

 日本人の死因の第2位となる心疾患のうち、約4割を占めるのが心不全だ。入院患者は毎年1万人ずつ増加。2030年には130万人に達すると推計されている。爆発的な流行になぞって「心不全パンデミック」と呼ばれ、対策が急がれている

 一方、心不全がどのような病気かを理解している人は多くない。「高齢者の死因によく書かれる病名」と認識しつつも、予防するという意識にはなかなか至らない。

 心不全は心臓から血液を送り出すポンプ機能が低下し、全身に血液が行き渡らなくなる病気だ。このため、疲労感や手足の冷えなどが出る。また、血液が心臓に戻る機能も弱まって血液が滞り、むくみや息切れが生じる。徐々に悪化して命を縮める。

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 特徴は、いったん症状が悪化してしまうと治療にかかった後も、苦しく動けないなど身体活動が制限されるようになることだ。東京大学循環器内科の小室一成教授は「予後が悪い病気として、がんを連想する人が多いが、実は心不全の方が悪い。がんの平均的な5年生存率が約7割に対し、心不全の4年生存率は約6割」と指摘する。

 とはいえ、「心不全は多くの場合、本人の努力次第で予防できる。適切な治療で重症化を防げることが、がんと大きく異なる」(小室教授)。

 では、どのように予防すればいいのか。心不全は心臓に負担がかかることで発症する。医療法人ゆみの(東京・豊島)の弓野大理事長は「一番の要因は動脈硬化。放置すれば心臓の機能を低下させ負担をかける原因にもなる」と指摘する。心不全予備軍といえる高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病を予防することが大切だ。

 既に、こうした病気を抱えている場合は、塩分を控える、過食しない、禁煙する、定期的に運動するなど生活習慣を見直す。必要に応じて薬物治療を受ける。

 心筋梗塞や心房細動などの不整脈、弁膜症や心筋症など心臓自体の病気も心不全の原因になる。こうした心臓病が放置されたまま、心臓の機能が落ちた状態が続くと発症のリスクが高まる。「過労や暴飲暴食、感冒が一押しとなり、心不全を引き起こすので注意が必要だ」(小室教授)。心臓の疾患を指摘されたら循環器の専門医療機関で適切な治療を受けたい。

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 心不全の初期症状として、息切れやむくみ、疲労感、手足の冷えなどが起きるが、ありふれた症状でつい見落としがちだ。心臓の予備能力は大きく、機能がかなり低下しても、心臓が大きくなることで代替するため発見が遅れることもある。小室教授は「早くに治療すれば、機能が低下して大きくなった心臓を小さくできる。心不全を悪化させないためにも、早期発見が大切だ」と注意喚起する。

 早期発見には、まず自分の症状を正しく把握する。「2~3カ月前に上れた階段が、同じ速度で進めなくなったなど、以前と同じ動作ができなくなる変化があれば受診してほしい」(弓野理事長)

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 また、高血圧や糖尿病の持病、運動時の息切れ、心筋梗塞などの既往があれば定期的に検査を受ける。血液検査でもリスクが判定できる。

 心不全では、息苦しさなどで入院しても、ほとんどの人は軽快して退院できるが完治したわけではない。生活習慣などによっては増悪を繰り返す。まずは心不全にならないために、生活習慣病を予防することが重要になる。

(ライター 武田京子)

[NIKKEIプラス1 2020年10月24日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「健康づくり」からの転載です。

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