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高血圧は秋こそ注意 日中気温差で変動幅大きく

 日本経済新聞電子版

高血圧は冬場になりやすいと思われているが、実は秋も発症が多い。日中の気温差が大きく血管が収縮することが要因だ。心筋梗塞や脳卒中など重篤な病気のリスクが高まるだけに、しっかり予防したい。

写真はイメージ=(c)Satjawat Boontanataweepol-123RF

 血圧は心臓が血液を送り出した際に血管にかかる圧力。血管が縮むとその分、圧力が高まる。気温が下がると血管は収縮するが、寒い冬場より秋こそ注意が必要になる。

 東北大学東北メディカル・メガバンク機構の宝沢篤教授の調査によると、平均気温が10度を下回る冬場は、秋や春先と比べても1日の血圧変動が小さい。「家庭で暖房などを通じ室温管理に気を配るようになり、一定に保たれるため」(宝沢教授)という。秋は気温差が大きい一方、室温管理などの準備が冬に比べ手薄い。このため、気温の変化が身体に影響しやすい。血圧変動が激しいと血管の内側が傷みやすく、心筋梗塞や脳卒中にかかる可能性が高まる。

 健康を守るために重要なのは、自分の血圧の変化を知ることだ。市販の血圧計で自宅で血圧測定することを多くの専門家が勧めている。健康診断や病院で測定した血圧を目安にする人も多いが、こうした「診察室血圧」は緊張感もあり、自宅で測定する「家庭血圧」より高めになることが多い。日々の健康管理では家庭血圧の変動を知ることが有効だ。

 では、どの程度の血圧変動があると注意が必要になるのか。帝京大学衛生学公衆衛生学講座の浅山敬准教授らの研究では、夏から冬にかけて最高血圧が10以上、最低血圧が5以上高まる人は、心臓や血管の病気になるリスクが2倍になることが分かっている。

 自治医科大学付属病院循環器内科の苅尾七臣教授は、1日に気温が10度変化したときに10以上の血圧変化がある人を「気温感受性高血圧」と呼び、朝に血圧が急上昇することも多く注意が必要という。

 高血圧の診断基準では家庭血圧の最高が135以上、最低が85以上を高血圧としている。苅尾教授は「昼は基準以下でも朝の血圧で最高が140以上、最低が90以上ある人は循環器内科に相談したほうがいい」と助言する。

 血圧変動の大きい人は生活の工夫も欠かせない。宝沢教授は「秋は気温の変化に対応しやすい服装を心がけたい」と話す。とくに朝起きたときには、体が冷えないようカーディガンなど羽織れるものを準備しておこう。

 一方、秋は血圧を安定させるための生活改善に取り組むのにもってこいの季節でもある。重要なのは運動と食事。運動に適したこの季節、1日8千歩以上のウオーキングなどの運動習慣を身につけよう。食事では減塩に気を配ると同時に、旬の食材を血圧管理に取り入れよう。キノコ類、サツマイモやサトイモなどイモ類、リンゴには血圧を安定させる効果のあるカリウムや食物繊維が豊富なので、積極的に食事に取り込みたい。

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 寒い冬に備えた住環境のチェックも早めに。トイレや脱衣場に小型の暖房機を入れるなどのヒートショック対策はよく知られているが、意外に知られていないのが同じ室内の気温差だ。断熱効果の低い住宅では、腰の高さに比べ足元(床から10センチ)は温度が5度前後低くなり、その影響で血圧が高まりやすいという実験結果もある。送風機で室内の気温を一定にするなどの工夫が必要だ。

 苅尾教授は、気温の季節変動に加えて、「睡眠不足、早朝に血圧が高くなる日内変動、仕事のストレスなどによる血圧変動が重なり増幅されたときも心臓や血管の疾病リスクが高まる」という。出勤時に最寄り駅まで走ったりすることのないように、寒い朝は余裕を持ってすごしたい。

(ライター 荒川直樹)

[NIKKEIプラス1 2019年9月21日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。
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