日経グッデイ

トピックス from 日経電子版

秋の夜長、夜更かし不調にご用心 休日に2時間長寝

体内時計を乱さないことが大切

 日本経済新聞電子版

酷暑も一段落し、過ごしやすくなる秋は、つい夜更かししがちだ。睡眠不足や不規則な生活による睡眠の乱れは、多くの不調の原因になり、仕事の生産性を下げる。寝不足に陥らないコツを知っておこう。

写真はイメージ=(c)primagefactory-123RF

 日本人の5人に1人は睡眠で十分に休養がとれていないことが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2016年)で明らかになった。慢性的な睡眠不足に加えて、この時期は気温や湿度が下がるため、夜遅くまで起きる人が増えがちだ。青山・表参道睡眠ストレスクリニック(東京・港)の中村真樹院長は「夜更かしせず、秋こそ睡眠を整えて心身の調子を取り戻したい」と話す。

 睡眠には脳の疲労回復と記憶の整理、体の疲労回復や成長、傷付いた細胞の修復といった役割がある。睡眠の効果を十分に得るには「『睡眠時間』と『睡眠の質』『規則正しい起床と就寝のリズム』の三条件の確保が欠かせない」と中村院長は話す。「眠りが悪化すると、自律神経の働きやホルモン分泌が異常をきたし、様々な不調を招く

[画像のクリックで拡大表示]

 成人を対象にした米国の研究によると、睡眠が不足している人の糖尿病の発症リスクは、そうでない人の2~3倍だという。血糖値を下げるインスリンの働きが低下するのがその一因だ。高血圧(2倍)や心臓病(1.3~3倍)、ぜんそく(2倍)なども睡眠の影響を受けるという。

 肥満にもなりやすい。産業技術総合研究所で体内時計や生体リズムを研究する大石勝隆氏によると、「睡眠時間が短くなると、食欲を増すホルモンが増える。逆に、満腹感をもたらすホルモンは出にくくなる」。

 中村院長は「睡眠不足の怖さは、慢性化すると眠気や疲労を自覚しにくくなること」と指摘する。「頭がぼんやりした状態で仕事をしてミスが増えたり、体調を崩して疾病で欠勤したりして、労働生産性は大きく低下する」。風邪や運転中の交通事故が増えるほか、うつ症状や認知症のリスクも上がる。

 まずは睡眠時間の確保から始めたい。眠気が残るなら、「休日は平日より最大で2時間程度、長く眠るといい」(中村院長)。2時間を超えて長く寝ると、体内時計のリズムが乱れて時差ボケ状態になる。

 昼寝も効果的だ。午後の早い時刻に、15分以内で切り上げる。「20~30分以上だと眠りが深くなり、目覚めに時間がかかる」(中村院長)。夕方以降のうたた寝は、夜の睡眠に影響するので避けよう。

 睡眠のリズムを保つには、体内時計を乱さないことが大切。体内時計は体中にあり、ホルモンの分泌や自律神経の調節をつかさどる。そこで重要な役割を果たすのが光と食事だ。「朝に光を浴びると、脳の体内時計がリセットされて、しかるべき時間に眠気が出る」と大石氏は話す。

 夜に青い光を浴びると、体内時計を正常に保って眠りを誘うホルモン「メラトニン」が出なくなる。「特にパソコンやスマートフォン(スマホ)は青い光を放つうえ、検索などに熱中して興奮状態になり、覚醒しやすいので夜の使用は避けたい」(中村氏)

 食事には臓器の体内時計を調整する役割があり、最も重要なのは朝食。「起床後2時間以内の朝食は臓器の体内時計をリセットし、体を活動モードにする」と大石氏は話す。「特に、たんぱく質と糖質を合わせて取ると効果が高いとわかった」という。

 寝る前の食事は、体内時計を遅らせて、生活が夜型になりやすくなる。夕方以降のカフェイン摂取や寝酒も、睡眠の質を損なうので避けよう。夜更かしをして夜食をとり、寝坊して朝食を抜くのはもってのほか。秋の夜長を楽しむのは、ほどほどにしたい。

[画像のクリックで拡大表示]

(ライター 武田京子)

[NIKKEIプラス1 2018年9月15日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「健康づくり」からの転載です。