治りにくい咳、中高年で急増
肺非結核性抗酸菌症
日本経済新聞電子版
罹患率 日本が突出 治療薬の開発急務
肺非結核性抗酸菌症は結核と違って人から人へうつる病気でないため、結核のような登録制度がない。このため、正確な罹患(りかん)率を把握するのは難しい。
罹患率は1970年ごろから国立療養所非定型抗酸菌症共同研究班などが疫学調査をしてきた。罹患率が10万人当たり2人を超えたのが1984年。2001年の調査で罹患率は同5.9人となった。次に調査が実施されたのは07年の同5.7人だった。
その後、菌の検査法や画像など診断技術が進歩した。08年には日本呼吸器学会などが診断ガイドラインを作成した。14年はガイドライン作成後、初の調査となった。この病気は海外でも増加傾向にあるが、日本は突出しているという。
死亡者数も年々増加する傾向にある。将来、結核の死亡者数(年間約2100人)を上回ると予想されている。専門家の間では、結核のように肺非結核性抗酸菌症の罹患率の把握を求める声が多い。
国は疫学調査も含め、発症メカニズムや感染ルートの解明、治療薬の開発などを急ぐ必要がある。
(西山彰彦)
[日本経済新聞朝刊2016年9月25日付]