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治りにくい咳、中高年で急増

肺非結核性抗酸菌症

 日本経済新聞電子版

結核菌に似た細菌が引き起こす肺の感染症が中高年の女性を中心に急増している。増加の理由はわかっていないが、1年間に新たに診断される患者の割合は肺結核をしのぐ勢いという。結核のように人から人へはうつらないものの、長引く咳(せき)やたんに悩まされ、体重も次第に落ちてくる。抗菌薬などで治療しても完全によくなることが難しく、新しい治療薬の開発が求められている。

 「お母さん、咳が多いね」。2000年暮れ、神奈川県藤沢市在住のAさん(74)は息子にいわれ、かかりつけ医を受診した。

 そのときは大きな病気が見つからなかったが、心配だったので定期的にレントゲンを撮ることにした。01年夏、レントゲン写真を見た医師の指示で大きな病院でコンピューター断層撮影装置(CT)を撮り、さらに別の専門病院を受診したところ、「肺非結核性抗酸菌症」と診断された。

 2~3種類の抗生物質を飲み続けているが、徐々に、咳やたんがひどくなっている。「坂道を上ったり、重いものを持って歩いたりすると息苦しくなる」というAさん。「これからどうなるのか」と不安を募らせる。

◇     ◇     ◇

肺非結核性抗酸菌の顕微鏡写真=結核予防会結核研究所提供
[画像のクリックで拡大表示]

 肺非結核性抗酸菌症は、結核菌と、らい菌以外の抗酸菌によって起きる慢性の呼吸器疾患だ。

 病原性の抗酸菌は数十種類あり、日本ではこのうち「マイコバクテリウム・アビウム」と「マイコバクテリウム・イントラセルラーレ」という菌による肺MAC症が、肺非結核性抗酸菌症の9割近くを占める。

 国立病院機構東名古屋病院の小川賢二副院長は「初期は無症状のことが多い。健康診断で胸部レントゲンに影があり、精密検査を受けてわかるケースが増えている」という。精密検査でCTを撮ると、肺に空洞や気管支拡張の病変が見つかる。さらに、たんなどの検査をして菌が見つかれば、肺非結核性抗酸菌症と診断される。

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