ダニ感染症、野山歩きに注意 北海道で初の死亡例
発熱・頭痛、放置せず病院へ
日本経済新聞電子版
抗インフル薬で臨床研究
ダニ媒介脳炎のウイルスが確認されているのは北海道だけだが、ほかのダニが運ぶ感染症は本州でも患者が出ている。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、西日本を中心にこれまで約200人の患者の報告があり、このうち約2割の人が死亡している。感染してから1~2週間後に発熱や腹痛、下痢が起こり、重症化すると意識障害や皮下出血などの出血症状を起こす。
マダニの活動が活発になる5~8月に感染の報告が多い。患者は西日本が中心だが、SFTSウイルスを持ったマダニは患者の出ていない北海道や宮城、群馬などでも確認されており、注意が必要だ。有効な治療法やワクチンはないが、国立感染症研究所や愛媛大学など全国約30の医療機関は6月から抗インフルエンザ薬を使った臨床研究を始めた。
感染研のチームがマウスを使った実験で効果を確かめており、ヒトでの安全性や有効性を確かめる。愛媛大の安川正貴教授は「診断が遅れ、重症化しているケースもある。最寄りの医療機関を早めに受診してほしい」と訴える。
日本紅斑熱やライム病、ツツガムシ病もダニによる感染症だ。日本紅斑熱とライム病はマダニ、ツツガムシ病はツツガムシの幼虫が病原体である細菌を運ぶ。紅斑や発熱、頭痛、発疹などの症状が出る。細菌による感染症なので、抗菌剤などで治療できる。
(藤井寛子)
[日本経済新聞朝刊2016年9月4日付]