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味覚の秋はアレルギー注意 花粉症の人、果物で症状も

 日本経済新聞電子版

秋は果物がおいしい季節。ところが果物で口腔(こうくう)にアレルギー症状を起こす場合がある。実は花粉症患者に多い症状で、アレルギーを起こす花粉と果物には密接な関連がある。前もって把握しておき予防したい。

写真はイメージ=(c)Volodymyr Melnyk-123RF

 果物を食べた際に、口の中やくちびる、のどなどの口腔粘膜にイガイガしたかゆみや痛み、腫れが生じる果物アレルギー。「OAS(口腔アレルギー症候群)」と呼ばれるもので、こうした症状を起こす人が増えている。

 ナシやブドウなどおいしい果物が出まわる秋を迎え、花粉症の人は気を付ける必要がある。

 「果物アレルギーの患者の約8割が花粉症との調査結果がある」と話すのは横浜市立大学医学部皮膚科学教室准教授の猪又直子氏だ。果物アレルギーが先に発症し調べると花粉症だったというケースもあるが、花粉症を発症してから数年後に果物でアレルギー症状を起こすようになる例が多い。

 果物アレルギーの症状を引き起こす果物には、花粉症を引き起こす花粉のアレルゲン(アレルギーを起こす原因となるたんぱく質)と構造が似た物質が存在する。花粉症患者がこうした果物を食べた際に、体の免疫機能が花粉のアレルゲンと類似のものと認識し、アレルギー症状を起こすと推測されている。

 どんな花粉のアレルゲンに反応するかによって、症状を起こす果物も異なる。例えば、ハンノキやシラカバの花粉症だと、リンゴやナシ、モモ、サクランボといったバラ科の果物で症状を起こしやすい。

 OASは、野菜や木の実、豆類でも発症し、おのおの関連する花粉が存在する。国内で患者が多いスギやヒノキの花粉症では、果物アレルギーを起こすことは少ないものの、トマトとの関連が示唆されている。これからの季節に花粉が多く飛散するブタクサやヨモギの花粉症の場合は、メロンやバナナ、キウイでOASを起こしやすい。果物や野菜の場合は通常、加熱すると症状が出ない

 「花粉症の発症が低年齢化しているため、果物アレルギーを起こす子どもも増えている」と話すのは、ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長の永倉仁史氏だ。子どもが果物を嫌がる場合、こうしたアレルギー症状が出ている可能性があるため「保護者は子どもの口の中を確認したほうがよい」という。

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 花粉症と関連せずにOASになるものもある。「栗で症状を起こす人もいる」と猪又氏は注意を促す。栗は、生ゴムの成分をアレルゲンとするラテックスアレルギーの人が症状を起こしやすい。

 OASは食べてから15分以内に発症することが多い。重い症状では口腔だけでなく花粉症のような目のかゆみや鼻づまり、鼻水といった症状の他、じんましんや息苦しさなどの全身症状も現れる。数は少ないが呼吸困難、血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こすこともある。

 OASの症状が出た場合は、まず皮膚科かアレルギー科、耳鼻咽喉科など医療機関を受診する。治療では抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬などが処方される。原因を確認し予防に生かすため、アレルゲンを特定する検査を受けるのが望ましい。

 血液検査ではわからないケースもあり「皮膚に専用針で小さな傷を作り、アレルゲンの可能性のある食材を接触させるプリックテストという検査法が有用」と永倉氏は助言する。

 OASがある人はアレルギーを引き起こす可能性のある食材を生で食べるのを控えるべきだ。症状を悪化させないためには原因物質を体に入れない。果物狩りなどで大量に食べるのは慎むのが賢明だ。

(ライター 仲尾匡代)

[NIKKEIプラス1 2019年8月24日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「健康づくり」からの転載です。