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高齢者の衰え「フレイル」、運動や食事で予防・回復

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年を重ねるごとに筋肉が減り歩く速さが遅くなる。次第に身体の活動水準も低下する。高齢者の衰弱はそのまま介護に向かう状態と考えられてきたが、運動や食事など積極的な対策によって予防や回復が可能と受け止められるようになってきた。日本老年医学会が2014年に「フレイル」という考え方を提唱し、従来の衰弱に対する見方が変化し始めた影響が大きい。

 「いったん始まったらもう戻れない。そんな悪い印象を拭い去れたと思う」

 老年医学会のワーキンググループでフレイルの導入を唱えてきた国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の荒井秀典副院長は、提案後1年間の変化をこう解説する。

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 フレイルは、英語で虚弱を意味する「Frailty」をもとにした造語。高血圧や糖尿病など生活習慣病の危険が高まるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を「メタボ」、筋力の低下によって引き起こされるロコモティブシンドローム(運動器症候群)を「ロコモ」と省略して呼び、社会に浸透しやすくなった事例を参考に言葉を決めた経緯がある。

 動作が遅くなったり転倒しやすくなったりするなど身体的な問題だけではない。フレイルには認知機能の障害やうつ病などの精神や心理的な問題、独り住まいや経済的な困窮などの社会的な問題も含む。放置すれば介護が必要な状態に陥るし場合によっては生命にかかわる。荒井副院長は「医療関係者だけでなく社会の関心も高め、適切な対策を取る必要がある」と強調する。

 正式な診断方法はまだなく、学会で検討中だ。ただ介護予防事業で用いられている基本チェックリストには似た考え方の項目があり参考になりそうだという。米老年医学会など海外でもいろいろな基準が検討されているが、福祉や医療の現場で使いにくい課題がある。

 桜美林大学加齢・発達研究所(東京都町田市)の鈴木隆雄所長は「分かりやすい判断基準が2つある。歩行速度と握力だ」と話す。

 高齢者の歩行速度の研究から、1秒間に0.8メートル以下になると介護が必要になるリスクが高くなることが分かってきた。筋肉の量ではなく筋力が重要で、足を蹴り出す力やももを持ち上げる力の衰えが歩幅を小さくして歩行速度を遅くする。横断歩道の青信号は毎秒1メートルの速度で渡れるように設計されており、横断歩道を渡れなくなると要注意だ。

 握力も50歳を超えたころから徐々に低下する。過度に低下すれば自分を支えるために手すりにつかまりにくくなるし、荷物の持ち運びができなくなる。男性では26キログラム、女性では18キログラム未満になると支障が出る目安になっている。

 高齢者で介護が必要になる要因を年齢別にみると、70代までは「脳卒中」が圧倒的に多い。80歳以上になると「衰弱(フレイル)」が増え、90歳以上では3割を超す。「フレイル対策は後期高齢者で特に重要になる」(荒井副院長)といえる。

 フレイルを防ぎ健康を回復するにはどうすればよいのだろうか。基本はやはり運動と食事だ。


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