子供の夏風邪侮らない プール熱流行、脳炎のリスクも
日本経済新聞電子版
この夏は例年にも増して特別な注意が必要といえるが、夏風邪を防ぐためにできることは「冬のインフルエンザ対策と同じく、うがいと手洗いに尽きる」とナビタスクリニック(東京都立川市)の久住英二理事長は話す。外出から戻ったら、せっけんで手や指を30秒ほどこすり洗いするのを習慣にしよう。
特に妊婦や小さい子供のいる家庭では、細心の注意が欠かせない。藤本室長は「エンテロウイルスA71に感染しやすいのは0歳児で、特に3カ月未満で起こりやすい」と指摘する。家族を通じて外からウイルスを持ち込まないように気を付けることが重要だ。
夏風邪にかかった場合は、対症療法が中心になる。「安静にして、解熱鎮痛剤などで症状を抑えながら回復を待つ」と久住理事長は話す。ただし「5日過ぎても症状が改善しなかったり、水分が取れないほど症状が重かったりする場合は、病院を受診してほしい」という。
夏風邪の発症時に欠かせないのが、脱水症状の予防だ。特にヘルパンギーナと手足口病にかかると口の中が痛むため、つい水を飲むのを控えがちになる。のどの渇きを訴えられない乳幼児は、尿の色が濃くなると脱水のサインだ。「体温並みに温めた経口補水液や、少量の塩を溶かした白湯などを飲んで、十分な水分を取って」(久住理事長)
藤本室長は「夏風邪は安静にしていれば治る病気だと軽視されがちだが、子供が保育園に通えなくなるなど、意外に影響は大きい。くれぐれも手洗いとうがいを忘れずに、予防に努めてほしい」と話している。
(ライター 荒川直樹)
[NIKKEIプラス1 2018年7月21日付]