臨床研究スマホが変える 大学、生活習慣病など分析
個人の参加手軽に 膨大データ収集
日本経済新聞電子版
アップルの公開ソフト活用 データの信頼性課題
臨床研究を始めるには、大学などそれぞれの倫理委員会の承認を得て、参加者からは「インフォームドコンセント」と呼ばれる同意書を取る必要がある。スマホのアプリを使った臨床研究では、アップルが公開した「リサーチキット」という仕組みが使われる。
参加者のデータは個人情報なので、匿名化して研究者のもとに送られる。病院などの場で本人からデータを集める通常の臨床研究と違い、アプリでは別の人が情報を提供しても見抜くのは難しい。データの客観性や信頼性をどう確保するか。スマホ内蔵のセンサーで測定されたデータの精度も含めて課題はある。
アプリを使った臨床研究は2年ほど前に米国で始まり、日本は昨年11月にスタートしたばかり。手探りの状態だが、日米英など30大学弱がアプリを開発し、研究に乗り出している。パーキンソン病や自閉症、ぜんそく、C型肝炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など研究対象は多岐にわたる。
(西山彰彦)
[日本経済新聞朝刊2016年7月24日付]