首の痛み、手足にしびれ要注意 適度な運動を
骨が神経圧迫、頸椎症の恐れ 長時間同じ姿勢避け
日本経済新聞電子版
軽症は保存療法
これらの病気は、重症の場合は手術治療もあるが、軽症なら保存療法をとる。首に負担が少ない姿勢や軽い運動による生活改善、痛みや炎症を抑える薬を使う、首を温めて血行を良くするなど。
原因の分からない首の不調にも欠かせないのが生活改善だ。石井専任講師は「首を上にすると骨の間が狭くなって神経の圧迫が強くなることがある」と話す。洗濯物を干すのも低い位置にし、頭を長時間上に向けるような動作を避ける。肩掛けカバンも片方だけにかけず、リュックやキャリーバッグを上手に使おう。
同じ姿勢も首に負担がかかるので、ゲームやスマートフォン利用時は要注意。パソコン画面の高さは楽な位置で作業できるよう調整し、一定時間作業したら休憩する。
適度な運動も大事。千葉教授は「痛いからといってじっと動かさないでいるより、無理のない範囲で体を動かしていた方が動きが回復しやすい」という。作業の合間には首を前後左右に動かし、肩甲骨が大きく動くように肩を回す。散歩や水中歩きなど全身運動も首の筋力を保ってくれる。
千葉教授は「首は重たい頭を支えながら、神経や血管の通り道となっている重要な場所。日常の動作に気をつけ、加齢による頸椎症などを防いでほしい」と話す。
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入院・手術は数日から1週間
保存療法で首の痛みや手足のしびれが改善しない場合には手術治療も検討する。手術は、頸椎の骨の一部を切除することで脊髄や神経根の圧迫を改善する。脊髄の圧迫が広い範囲に及んでいる場合に選択される「椎弓形成術」、脊髄は神経根への圧迫が1、2カ所だけの場合に選択される「前方除圧固定術」、神経根の圧迫が1カ所だけのときに選択される「椎間孔拡大術」などがある。
千葉教授は「最近では、これらの手術に内視鏡や顕微鏡を使うことで傷を小さくし、体の負担を小さくする手術が行われている」と話す。入院期間も短縮され、数日から1週間程度の入院ですむことも多いという。
(ライター 荒川 直樹)
[日経プラスワン2016年7月16日付]