日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > トピックス from 日経電子版  > うつ病診断、新知見を反映  > 2ページ目
印刷

トピックス from 日経電子版

うつ病診断、新知見を反映

薬の処方 改善に期待

 日本経済新聞電子版

 新診断基準では「感覚の過敏や鈍感」を「こだわり」の一つとして導入した。知能などに問題がなく従来は診断しづらかったが、小さな音や光に過敏に反応するような患者を自閉スペクトラム症と診断する場合がある。「診断が付けば本人も周囲も病気について共通の認識を持ち、対処法を考えやすい」(金生准教授)

 基準を決めても、実際の診断は医師の経験に頼る部分が大きい。遺伝子解析や脳機能の画像診断に基づく、より確実な判定を模索する動きもある。自閉スペクトラム症について奈良県立医科大の牧之段学講師は「脳を詳しく調べれば治療法が見えてくるだろう」と話す。関連遺伝子の働きや、脳神経系の活性化の違いがわかりつつある。

眼球運動を調べ統合失調症の診断・治療に役立てる研究も進む(大阪大・橋本准教授提供)
[画像のクリックで拡大表示]

 大阪大の橋本亮太准教授も、統合失調症などを診断するため、バイオマーカーと呼ばれる目印物質や脳の信号を探している。米国でも研究は活発で、DSM-5とは別の基準を普及させる動きもある。関西医大の加藤准教授は「同じ発熱でも原因や菌の種類によって薬を使い分けるように、うつ病などもバイオマーカーをもとに薬を決められるのが理想的」と将来像を描く。

 DSMの今回の改訂は1980年に「DSM-3」が出て以来の、久々の大幅改訂といわれる。ベースとなる症状の数値的な測定などが難しく、知見は限られるので「中途半端な中身」「変更は混乱を招く」との指摘もある。「5」と表記したのは、見直しを進め「5.1」「5.2」などを想定しているためだ。

 日本で使われ始めてまだ1年ほどで、定着するのはこれからだ。診断結果や病名が変わり、患者に戸惑いが出るかもしれない。診断基準が移行期にあると知り、セカンドオピニオンを求める時などに「DSM-5」の診断か確認できれば、治療方針を理解し納得するのに役立つだろう。

精神神経学会、盛況だったが… 外部の目意識 まだ不足

 今年6月に大阪で開いた日本精神神経学会学術総会では「DSM-5のインパクト―臨床・研究への活用と課題―」と題した会長企画シンポジウムがあった。会場は満席で質疑も活発だった。しかし、出席した重鎮の一人は「この分野は誤解を生みやすい。医学専門誌以外の取材は一切断る」と足早に会場を去った。

 精神神経系の疾患は患者に対する偏見、学校や職場での不当な扱い、拘束を伴う治療などの問題を連想しがちだ。診断基準に関しては、薬の売れ行きに直結するため製薬業界の影響力を懸念する声もある。どれも日本に限ったことではない。しかし、学会での議論は患者や家族が受ける治療に直結する。外部と共有したくないという考えは残念だ。扉を閉ざしてしまっては、かえって「誤解」を招きやすくなる。

(編集委員 安藤淳)

[日本経済新聞朝刊2015年7月5日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

  • 早期発見、早期治療で治す「大腸がん」 適切な検査の受け方は?

    日本人のがんの中で、いまや罹患率1位となっている「大腸がん」。年間5万人以上が亡くなり、死亡率も肺がんに次いで高い。だがこのがんは、早期発見すれば治りやすいという特徴も持つ。本記事では、大腸がんの特徴や、早期発見のための検査の受け方、かかるリスクを下げる日常生活の心得などをまとめていく。

  • 放置は厳禁! 「脂肪肝」解消のコツ

    人間ドック受診者の3割以上が肝機能障害を指摘されるが、肝臓は「沈黙の臓器」だけあって、数値がちょっと悪くなったくらいでは症状は現れない。「とりあえず今は大丈夫だから…」と放置している人も多いかもしれないが、甘く見てはいけない。肝機能障害の主たる原因である「脂肪肝」は、悪性のタイプでは肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊され、やがて肝硬変や肝がんへと進んでいく。誰もが正しく知っておくべき「脂肪肝の新常識」をまとめた。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.