海藻で暑い夏を乗り切れ
塩分うまく調整、胃腸守る
日本経済新聞電子版
海藻はいろんな種類があるが、栄養価が高くこの数年注目されているのが「アカモク」だ。昆布やワカメ、ヒジキ、モズク、メカブなどの仲間の褐藻類(かっそうるい)。船に絡まり「邪魔モク」と呼ばれ捨てられていたが、東北地方の一部では「ギバサ」「ギンバソウ」と呼ばれ、食べられてきた。この数年は「栄養価の高さから、東北だけでなく湘南地域など各地で食用として見直されている」(田耕社長)。
クセのない味
アカモクに突出して多いのが色素の一種「フコキサンチン」だ。宮下教授らは約10年前にこの色素の「肥満予防効果」を発表した。体重が90キロ以上のロシア人の肥満女性に成分入り食品を16週間食べてもらったところ、食べない人より体重が減ったという。余分な体脂肪がたまりにくくなるほか、糖の消費吸収を上げ、糖尿病のリスクも下げると期待できるという。
この色素の抗酸化力も注目されている。体内で活性酸素が異常に増えるのを抑え、老化予防や動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などの疾病予防に役立つと考えられている。
さて海藻はどう食べるといいのだろう。大量に海藻ばかり取るのは勧められない。普段の食事に少しずつ加えてみよう。アカモクはゆでて冷水で粗熱をとり、刻むと粘りがでる。酢を加えて食べてもよいし、クセがないので納豆に混ぜるほか、ハンバーグのつなぎやサラダの具材、麺類のトッピングにしてもいい。
アカモクは昆布やワカメと同様、乾燥した物や顆粒状の加工品があり、年中手に入る。「スープに加えると、うまみ成分でワンランク上の味に仕上がる」(田耕社長)
夏は「海藻風呂もお勧め」(同)だ。好みの海藻を水洗いし、沸騰した湯に軽くくぐらせて消毒。目の細かい洗濯ネットなどを2重にして入れ浴槽に沈める。「強い紫外線やエアコンでダメージを受けた肌に潤いをプラスできる」(田耕社長)。「アカモクなど褐藻類の粘り成分は肌の乾燥を防ぎ、保湿する力がある」(宮下教授)。洗い流しても、保湿効果はしばらく持続できるという。
海藻パワーで体の内と外から健康作り。暑い夏を上手に乗り切りたい。
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