日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > トピックス from 日経電子版  > 認知症介護の会話術 「ご飯まだ?」→「今から作る」  > 2ページ目
印刷

トピックス from 日経電子版

認知症介護の会話術 「ご飯まだ?」→「今から作る」

 日本経済新聞電子版

 認知症専門医でアルツクリニック東京の新井平伊院長は認知症の介護と子育てとの違いに例える。「子育ては子供が失敗をしたときに注意すれば経験として上塗りされるが、認知症の人は上塗りができないから意味がない」(新井院長)

 しかも、認知症の人は記憶力は低下しているが、抱いた感情は強く残ってしまうといわれる。「また無視された」「拒否された」という感情は、あきらめや意欲低下を招きかねない。「認知症の人が言うことに寄り添う、歩み寄ることが大切」(右馬埜さん)だ。

 高室代表は「認知症の人が言うことに過敏に反応するのをやめ、さりげなく調子を合わせる」のを勧める。食事の催促のケースでは「これから作るからなどと答えてあげればいい」(右馬埜さん)。実際に作る必要はない。「それなら待っていよう」と心を落ち着かせるのが肝心だ。「説得ではなく納得してもらうことがカギ」(同)だ。

 認知症の人とのコミュニケーションでは、「スピーチロック」といわれる言葉で身体的・精神的な行動を抑制することにも注意が必要だ。介護をしていると何気なく使ってしまう「ちょっと、待ってね」や「座ってて」などの言葉が、認知症の人には否定的に受け止められる場合がある。

 軽度の認知症であれば、本人がやろうとしていることを先回りするのもやめた方がいい。家族は心配のあまり必要以上に世話をやいてしまいがちだが、病気で自信を失っている本人は世話を素直に受け取れないことがある。危険な事態にならない限りは「本人の頑張りを尊重する」(新井院長)ことが大切だ。

 認知症の介護では理不尽な怒りを感じてしまう場合もあるだろう。介護する人に余裕がなくイライラしているときは、焦りを抑えられずに相手にぶつけてしまう可能性がある。否定されたという記憶は残りやすいので配慮が必要だ。

 対応策として、高室代表は「自分が腹を立てていると思ったら、いったんその場を離れる」ことを勧める。「お手洗いに行くとか、水を飲んでくるなどと告げ、時間を置いてもどってくればお互いに落ち着いて話せるようになる」(高室代表)という。

◇     ◇     ◇

元気なうち 好み聞いておく

 日本の65歳以上の認知症の人の数は、2012年の462万人から25年には700万人に増加すると予想されている。家族などが認知症になったときコミュニケーションが取れるように、早いうちから準備しておくことが肝心だ。

 ケアタウン総合研究所の高室代表が勧めるのは「親が元気なうちに、好きな食べ物やテレビ番組、楽しかったことなどを一通り聞いておくこと」だ。「怒りが収まらない認知症の人に、大好きなコーヒーをいれてあげるとニコッとする」(専門相談員の右馬埜さん)など、親の好みを知っていると、不安にかられる心を静めるための対応がしやすくなるという。

 介護士などプロのコミュニケーションスキルも役に立つ。高室代表は「デイサービス施設を見学するなどして、認知症の人との接し方ややり取りを学ぶといい」と話す。

(大橋正也)

[日本経済新聞夕刊2019年6月19日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「介護に備える」からの転載です。

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

  • 早期発見、早期治療で治す「大腸がん」 適切な検査の受け方は?

    日本人のがんの中で、いまや罹患率1位となっている「大腸がん」。年間5万人以上が亡くなり、死亡率も肺がんに次いで高い。だがこのがんは、早期発見すれば治りやすいという特徴も持つ。本記事では、大腸がんの特徴や、早期発見のための検査の受け方、かかるリスクを下げる日常生活の心得などをまとめていく。

  • 放置は厳禁! 「脂肪肝」解消のコツ

    人間ドック受診者の3割以上が肝機能障害を指摘されるが、肝臓は「沈黙の臓器」だけあって、数値がちょっと悪くなったくらいでは症状は現れない。「とりあえず今は大丈夫だから…」と放置している人も多いかもしれないが、甘く見てはいけない。肝機能障害の主たる原因である「脂肪肝」は、悪性のタイプでは肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊され、やがて肝硬変や肝がんへと進んでいく。誰もが正しく知っておくべき「脂肪肝の新常識」をまとめた。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.