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トピックス from 日経電子版

高額な薬価なぜ 抗がん剤投与に年間3500万円…

製薬会社「開発費増加」、算定過程は非公開

 日本経済新聞電子版

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 薬価の決め方は2パターンに大別される。製造コストや研究開発費、営業利益などを積み上げる「原価計算方式」と、効能が似た既存の薬と比較して導く「類似薬効比較方式」だ。

 厚労省で薬事行政に関わった東京大学大学院の小野俊介准教授(薬学系研究科)は「原価方式は企業の言い値で薬価が決まる部分がある」と指摘する。例えば製造効率などが実際より低く申告された場合、「妥当かどうかを行政が検証するのは難しい」。影響は比較方式にも及ぶ。原価方式で高くなった薬が基準では、製造コストが大幅に低くなっても薬価は高止まりしやすい。

 中医協の下部組織で薬価を事実上決める「薬価算定組織」の会議は非公開だ。厚労省は「企業秘密が絡むため」とするが、客観的に議論されたのかどうか、第三者にはうかがえない。

 対象患者が増えても、すぐに薬価を見直す仕組みはない。オプジーボでは最初に承認されたメラノーマの対象患者を470人と見込んでいた。少人数の利用でも開発費を回収できるよう、薬価は高く設定された。

 しかし昨年12月に「非小細胞肺がん」にも適用が拡大され、対象は数万人に膨らんだ。販売する小野薬品工業の16年度の売り上げ予想は1260億円。メラノーマで承認申請した際の売り上げ予想の実に40倍だ。

 厚労省は対策に乗り出している。今年4月に「特例拡大再算定」と呼ぶ制度を導入。年間1千億円以上売れたら薬価を最大で25%、1500億円以上なら同50%下げる仕組みだ。4種類が対象となり、「ハーボニー」は32%下げられた。

 製薬会社は反発。多田正世・前日本製薬工業協会会長は制度決定の際、「市場規模拡大だけで薬価を引き下げるルールは、イノベーションの適切な評価に反しており容認できない」と表明。米国研究製薬工業協会のジョージ・A・スキャンゴス会長も「薬価が突然下がるような仕組みがあると、日本に投資しづらくなる」と批判した。

 医療費の4分の1を占める薬剤費。財政に限りがある中、下押し圧力は今後も高まるだろう。下げすぎれば企業の競争力をそぐ。海外勢が日本での承認を後回しにする「ドラッグ・ラグ」も生まれかねない。難しいかじ取りが続く。

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