夏のせき、カビが原因かも エアコン・水回り清潔に
浴室50度の湯で流す/せき続くなら受診を
日本経済新聞電子版
6月は空中のカビが最も増える。カビは胞子を飛ばし、人間の皮脂やホコリ、せっけんかすなどの栄養源に付着して発生し、繁殖する。NPO法人・カビ相談センター(東京・大田)の高鳥浩介理事長は「気温が20~30度、湿度が80%を超えるとカビが発生しやすい」と話す。
カビを吸い込むのは避けられないが、吸う機会をなるべく減らすのが感染予防の第一歩。特にこの時期は家の中の環境を清潔に保ち、カビの発生を防ぐのが重要になる。
カビの種類ごとに、生息しやすい場所がある。「トリコスポロンは湿気のある場所を好む。アスペルギルスはホコリの中に多い」(高鳥理事長)。梅雨時は特に、室内のこまめな換気と水回りの掃除で、湿気とホコリを除去しよう。
最も注意したいのはエアコンだ。フィルターにホコリがつきやすいうえ、内部の結露でカビが増える。汚れたまま使うと、部屋中にカビをまき散らすことになる。フィルターは定期的に掃除しよう。高鳥理事長は「エアコンの使用後は送風に切り替え、30分ほど内部を乾かしてから電源を切るといい」と助言する。
湿気が残りやすい浴室は換気をよくして、入浴後に浴室内の水分を拭き取る。「週に1度はシャワーを使い、50度台のお湯で10秒ほど浴室内を洗い流すと、表面に付着したカビは死滅する」(高鳥理事長)。花王の調査によると、シャンプーや洗剤の容器裏、キッチンの蛇口付け根や排水溝の縁に、菌が多く発生しやすいという。
夏型過敏性肺炎も慢性肺アスペルギルス症も、しつこい夏風邪や気管支炎などと見分けにくい。一度感染すると命に関わる場合もある。亀井教授は「せきや痰が3週間程度続くなど、気になる症状があれば、呼吸器内科を受診してほしい」と呼びかけている。
(ライター 田村知子)
[NIKKEIプラス1 2017年5月27日付]