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新型コロナで重症化リスク 糖尿病は血糖値管理を徹底

 日本経済新聞電子版

新型コロナウイルスに感染すると重症化リスクが高い基礎疾患(持病)の一つが、国内で予備軍を含めて推計約1千万人の患者がいる糖尿病だ。不安を抱える患者も少なくないが、こまめな手洗いなど基本的な感染予防策のほか、日ごろから血糖値を適切に管理することが大切になる。外出や集会が難しい中、オンライン開催の患者向け講座もある。

 「重症化リスクを過度に心配することはないが、血糖コントロールは大事だ」。5月9日に開かれた糖尿病患者向けウェブセミナー。大阪市立大病院の川村智行講師が画面越しに呼びかけた。

 主催したのは、1型糖尿病の患者と家族を支援するNPO法人「日本IDDMネットワーク」(佐賀市)。摂取した炭水化物の量に応じてインスリンを調整する食事療法「カーボカウント」や、持続的にインスリンを皮下に投与する「インスリンポンプ」などの先進デバイスも紹介した。

日本IDDMネットワーク主催のウェブセミナーで、自宅から司会を務めた大村副理事長=同法人提供
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 同法人は新型コロナの影響でセミナーの中止を迫られる中、初めてオンライン開催に踏み切った。動画投稿サイトでライブ配信され、北海道から沖縄まで全国の患者ら約200人が参加。質問も多く寄せられた。大村詠一副理事長は「重症化しやすいとの情報に、多くの患者が不安を抱えている。情報を得る機会が制限される中、今後もオンライン開催を続けていきたい」と話す。

 糖尿病は膵臓(すいぞう)によるインスリン分泌などに問題を抱え、高血糖を起こしやすい。全身の血管が傷つくほか、白血球などの免疫機能も低下し、感染症全般に注意が必要だ。厚生労働省は新型コロナの「相談・受診の目安」で、重症化しやすい基礎疾患に挙げ、発熱やせきなど軽い風邪症状でもすぐに相談するよう求める。

 2月に世界保健機関(WHO)や中国の専門家チームなどがまとめた報告書では、新型コロナの致死率は基礎疾患がないと1.4%だったが、糖尿病患者は9.2%に上った。高血圧(8.4%)や、がん(7.6%)を上回った。

 国立国際医療研究センターの大杉満・糖尿病情報センター長は報告書について「高い致死率だが、医療体制が逼迫したとみられる時期の調査である点も考慮すべきだ」と指摘する。糖尿病患者は血栓など血液が固まる合併症が多いが、新型コロナ患者でも血栓などが報告されている。大杉センター長は「日ごろからうまく血糖値を管理することが重要」と強調する。

 体調を崩した場合は、血糖コントロールが難しくなるため注意が必要だ。糖尿病患者が発熱や嘔吐(おうと)、食欲不振などに陥った状態は「シックデイ」と呼ばれ、インスリン製剤が欠かせない患者は特に高血糖を招きやすい。

 同センターはシックデイの対処法として、安静に努めるほか、十分な水分の摂取、スープやおかゆなど消化に良い物を食べることなどを挙げる。

 こまめに血糖値を測定し、自己判断でインスリン注射を中断しないことも大切だ。服薬量の調整が必要な場合もあり、悩む場合は電話などで主治医と相談すべきだ。大杉氏は「新型コロナの感染を恐れて受診を控えるなど、治療を放置してしまうケースも出ている。医師と治療方針を相談し、継続して受診してほしい」と呼びかけている。

◇  ◇  ◇

遠隔診療も選択肢 体制整備、課題も

 厚生労働省は4月、新型コロナウイルスの感染が収束するまでの特例として、初診を含めたオンラインや電話での遠隔診療を認めた。通院に不安がある糖尿病患者も活用できる。

 日本IDDMネットワークの大村詠一副理事長は、熊本から福岡の病院まで新幹線などで月1回通院していたが、4月に初めて電話で受診した。処方箋は薬局に送付され、翌日にはインスリン製剤などが自宅に届いた。「移動時間や交通費がかからない利点はあるが、採血を伴う正確な検査ができないなどデメリットもある」と話す。

 大村氏が4月、ツイッターで実施した簡易調査では、回答した患者61人のうち、52%が通院先が遠隔診療に対応していないと答えた。診療報酬制度も含め、体制整備に課題が残る。

(佐藤淳一郎)

[日本経済新聞夕刊2020年5月27日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。
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