通勤中の「つり革体操」 体幹強化・脇腹引き締めに
日本経済新聞電子版
夏に露出の機会が増える腕や胸部に効くのが同3と4だ。
3の「片手バタフライ」は主に大胸筋を、4の「二の腕シェイプ」は上腕三頭筋を刺激する。いずれも手のひらを前に向けてつり革を握る。可能ならつり革と手、肘が一直線になる位置に立とう。手首を曲げずに動かすと効果が上がる。


体幹部の強化に加え、ウエスト周辺を引き締め、こわばったインナーマッスルを動かして血流を促進するのが「骨盤ツイスト」だ(同5)。腰は振らないで、膝と一緒に骨盤を片側ずつ前に動かす。長時間座り続けた後の腰痛の予防にも役立ちそうだ。

いずれも動きは小さく、電車内のわずかな空間でも目立たずに取り組める。そのとき、身体を感じながら動かすのが非常に重要だ。
脳から脊髄や末梢(まっしょう)神経に指令が伝わって、筋肉が収縮する。筋や腱(けん)にある感覚受容器は、身体のどの部位に、どのように力が入っているかといった筋肉の状態を、脊髄や脳に伝えている。このやり取りを想像しながら体を動かせば、姿勢や動作に敏感になれる。
あわせて重要なのが、動きを呼吸と合わせることだ。呼気に合わせて力を入れる。できるだけ大きく吸い込み、細く長く吐く。満員電車で身動きが取れないときは、呼吸の繰り返しだけでもよい。できるだけ腹圧を高めよう。
「スマホを見る通勤」から「身体と向き合う通勤」へ。身体を感じることは、脳の活性化にもつながる。仕事前後のギアチェンジにもなるだろう。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2017年5月6日付]