便秘、タイプ別の解消法 腸のねじれの可能性も
お腹のマッサージや「考える人」のポーズが有効
日本経済新聞電子版
考える人で解消
同じ直腸性便秘でも、排便時の「姿勢」と関連して起きる場合があることが分かった。大腸肛門病センター高野病院(熊本市)の高野正太部長は、上体を前に深く傾けたロダンの「考える人」のポーズで、便秘の人の約半数がスムーズに排せつできることを見つけた。
このときX線造影検査で直腸を撮影すると、「考える人」のポーズを取った場合は直腸の湾曲がゆるみ、便が通りやすくなっていた。結果を今年2月、欧州の医学論文誌に発表した。
直腸は普段、肛門付近の筋肉に引っ張られ、鋭角に曲がっている。排便時は本来、この筋肉がゆるんで直腸が伸びるが、「この筋肉が硬直していると、直腸が伸びにくい」と高野部長は説明する。ポーズでゆるみやすくなるという。
一方、「けいれん性便秘」は主にストレスが原因。腸がけいれんし、コロコロで小粒の硬い便になる。リラックスが最善策だ。お通じが無いことを気にし過ぎるとストレスになる。2~3日に1回でも、気持ちよく出ていれば良しと考えよう。
「弛緩性便秘」は、腸の筋肉の動きが落ちてたるみ、便が停滞する。運動不足が原因といわれるが、水上部長は「下剤の使い過ぎで腸が弛緩するケースが目立つ」と指摘。下剤の多くはセンナや大黄など、腸を刺激する成分を含む。便秘解消をうたう健康茶なども同様だ。これらを常用すると腸が疲れて動きが鈍る。
下剤の頻度を減らし、腸を休めよう。毎日使っているなら、週3回ほどに。「排便は毎日でなくても問題無く、下剤を飲んだ翌日に出ればいい」(水上部長)。
食事が原因のこともある。「偏食で食物繊維が足りない」人と、「食物繊維を取り過ぎ、その割に水分が少ないため、硬くてかさの多い便が詰まる」人とがいるという。
便秘はこれらの原因が複合して起こる場合もある。自分に合う対策を探ろう。また、大腸がんなど病気が原因のことも。血便や細い便、微熱、急激な体重減少に気づいたら医療機関の受診を。
繰り返す便秘と下痢、腸を揺らしてみる
下痢に悩む人もいる。水上部長は「ねじれ腸が原因で下痢になるケースも多い」と話す。「ねじれた部分に硬い便が引っかかると、便がたまって便秘になる。その後、栓が外れて開通すると、たまっていたゆるい便が流れ、今度は下痢が起きる」(水上部長)。つまり便秘と下痢を繰り返すパターンが典型的。この場合も、腸をゆらすマッサージが有効だ。
下痢の原因には、このほかにも、ストレスや乳糖を分解できない病気、アルコールの取りすぎなど食生活の問題、潰瘍性大腸炎などの病気もある。ストレスで下痢になるのは主に男性で、女性はストレスから便秘になる人が多いという。
(ライター 北村 昌陽)
[日経プラスワン2016年5月7日付]