蚊が運ぶ病気を防ごう 汗ふき取り虫よけ使用
赤ちゃんから大人まで使える虫除け剤も登場
日本経済新聞電子版
帰国後にも注意
手や首筋など肌の露出部には虫よけ剤を塗布したい。蚊など血を吸う虫対策としては、ディートという成分が使われるものが効果があるとされる。ただし、6カ月未満の乳児には使用しないほか、6カ月~2歳未満の塗布は1日1回、2~12歳未満は1日1~3回と制限がある。
今年、新たにイカリジンという成分の入った商品が発売された。「小児への使用制限がなく、赤ちゃんから大人まで使える」(大日本除虫菊)。
蚊は汗の臭いなどを感知して寄ってくるので、汗をかいたらこまめに拭き取る。「服は白っぽいものより黒っぽいものに寄っていく傾向があるので、白っぽい服を着るのもよい」(同社)といった対策も有効だ。
海外旅行から帰国した後も配慮が必要だ。感染しているのに気づかず入国し、国内で蚊に刺されることで、病気を広げてしまうケースが今後増えると考えられるからだ。沢辺部長は「帰国後1週間は蚊に刺されないようにしてほしい」と話す。
身のまわりの蚊を少なくする努力も大切だ。例えば、庭の鉢植えの水受けに水がたまっていないか、空き缶などが散乱していないか、近隣の公園に水たまりはないかなど、都会の蚊の発生源を無くしていくことが大切だ。
沢辺部長は「グローバル化と温暖化が進んでおり、蚊が媒介する病気を日本に持ち込まない注意が欠かせない」と強調する。一人ひとりが刺されない、広げない蚊対策を心掛けたい。
渡航前に感染症情報を入手
蚊が媒介する病気の中でも、デング熱やジカ熱は命にかかわる場合が比較的少ない。しかし、世界にはマラリアや黄熱病など高リスクの病気もある。渡航前には、厚生労働省検疫所の「海外で健康に過ごすために」というホームページ「FORTH(フォース)」などの情報をチェックしておきたい。
公開情報には、各国における地域ごとの流行情報も掲載されている。例えば、マラリアのリスクのある森林地帯などを訪れる場合、より持続時間の長い(濃度の高い)虫よけ剤や、夜間の蚊取り線香使用、さらには予防接種や薬の服用などが推奨される場合もある。
(ライター 荒川直樹)
[日経プラスワン2016年4月30日付]