日経グッデイ

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新生活、座ってもできる運動で心も体もリラックス

グッと力・脱力を交互に

 日本経済新聞電子版

入社や転勤、異動などで環境が変化する4月。適応しようとして、心や体に過度なストレスが生じやすい。順調なスタートを切るために、緊張をほぐす運動をこまめに取り入れよう。

(モデルは早稲田大学エルダリーヘルス研究所招聘研究員・渡辺久美、以下同)

 人の体は暑さや寒さ、不安などの精神的刺激を受けると一定の反応を示す。情報社会のテクノストレスから、「頑張ろう」といった意気込みまで、刺激は多岐にわたっている。

 特に春は、あいさつを皮切りに、人とのコミュニケーションにまつわる心理的な反応が起きやすい季節だ。反応の1つ、筋肉が過剰に縮む「筋緊張」に働きかけることで、心身のストレスを効果的に和らげる運動がある。

 筋肉の部位ごとに緊張(力を入れる)と弛緩(しかん、脱力する)を繰り返すことで、脳に「今は興奮しなくても良さそうだ」と感じさせて、体をリラックス状態に導く。椅子に座っていても立っていても、寝た状態でも取り組める。

 運動の際は、力の入れ具合と脱力を意識してほしい。7割程度の力をかけて、1つの動作を5~10秒程度続ける。ゆったりと呼吸しながら、20秒ほどかけて力を抜く。血液や体液が巡る、じわっと温かい感触を味わってみよう。

 初めに楽な姿勢で、大きく深呼吸する。まずは腕を体の横に垂らし、手をギュッと握りしめてから緩めよう。次は腕を曲げて力こぶを作るように力を入れ、その後腕を下げて緩める。

 続いて、腕を下げたままで肩だけ引き上げる。手先から始めて、肩の方に向かって順に動かしていくと、体にかかる負担が少なくて済む。

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 腕の動きが終わったら、曲げた両肘を胸の前に近づけて「胸縮め」。次は両肘を開いて「背中縮め」。「首倒し」は手のひらと頭で押し合うようにする。

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 人と会う前に顔を動かしておくと、表情が生き生きするだろう。「顔面縮め」で目や口をすぼめて中央に寄せ、「顔面開き」でできるだけ大きく開ける。

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 体幹は座った状態の「机押し」で刺激しよう。学校や職場のデスクを、肘から先と手のひらで押し下げるようにすると、おのずと腹部に力が入るはず。難しい場合は下腹部に手を当てて、息を吐きながらおへそ周辺をへこませるとよい。

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 続いて、立った姿勢で「クロス締め」(同下段)。両脚を交差し、ももの内側とお尻に力を入れて、内側に縮め込むように力を入れる。緩める時は、ゆっくりと脚を戻す。最後は気持ち良く伸びをして脱力。大きく深呼吸してリラックスする。

 体に痛みが出ないように、心地よく感じる範囲で動かそう。脱力の感覚は初めは分かりにくいかもしれないが、繰り返すうちに感じ取れるようになる。状況に応じて1、2種類の運動を選んでもよい。続けることで心身の自律機能が回復し、ストレス反応が起きにくい体に変わっていくのが実感できるだろう。

 ここ一番の緊張しそうな場面の直前、疲労を感じたときなど、こまめに各部位を動かして、心身を健やかに保とう。

(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)

[NIKKEIプラス1 2018年4月7日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「フィットネス」からの転載です。