夜間頻尿で睡眠不足や転倒リスク 排尿日誌で原因探る
日本経済新聞電子版
原因を探るのに有効なのが「排尿日誌」だ。ペットボトルの飲み口を切り取り、計量カップを使って、目盛りを付けた容器を用意し、排尿時刻や量を3日間程度記録する。夜間の尿量が多いと夜間多尿が疑われるなど原因の特定につながる。排尿日誌は日本排尿機能学会のホームページから無料でダウンロードできる。

高橋教授は「夜間頻尿は完治は難しいが、対策をとれば3~4回を1~2回に減らすことはできる。まずはかかりつけ医に相談してみてほしい」と呼びかけている。
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足元灯や手すりで安全確保
夜間のトイレは転倒リスクと隣り合わせだ。泉中央病院(仙台市)の中川晴夫医師が2003年から5年間、仙台市に住む70歳以上の約800人を調査したところ、夜間トイレに2回以上行く人が骨折して入院した割合は、1回以下の人の2倍に上った。
寝室からトイレへの動線の安全を確保することが重要だ。作業療法士で大阪保健医療大学の准教授だった山田隆人氏は(1)手すりの設置(2)照明の設置(3)トイレを近くに移設する(4)床の段差を改善する――の4点を挙げる。

照明は近づくと点灯するセンサー式足元灯が有効で6~7万円程度。同じ階にトイレがある場合は約5万円で手すりを設置できる。トイレを寝室近くに移す場合は50万円以上かかることも。寝室とトイレの間に電源コードなどの障害物がないかも確認したい。じゅうたんなど小さな段差もつまずく原因だ。
(朝比奈宏)
[日本経済新聞夕刊2021年4月7日付]