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トピックス from 日経電子版

コロナ患者守る“砦”の人工肺「ECMO」 台数・人材不足が壁に

 日本経済新聞電子版

 患者のトリアージを巡っては横浜港で検疫が行われたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での対応が参考になる。700人超の感染者が判明し、神奈川県の確保済みの病床を一気に超えたため、感染者を3段階に分けて対応した。

 まず強い呼吸苦を訴えるなど緊急に治療が必要なケースは市内の救急病院で治療する。軽い呼吸苦や倦怠(けんたい)感にとどまる場合は県内で対応し、自覚症状がない人は広域搬送となった。今後、感染が拡大した場合、県内や、広域搬送の対象者は自宅などでの療養の可能性がある。

 横浜市立大の竹内一郎主任教授(救急医学)は「呼吸状態によってさらに受け入れ先を分けている」と語る。感染症指定医療機関の同市立市民病院では通常の人工呼吸器をつけるなどの重症患者を受け入れ、同大の高度救命救急センターでエクモの重篤患者などを受け入れたという。

 人工呼吸器やエクモで救える命は限られているなか、期待されるのが感染を防ぐワクチンだ。世界保健機関(WHO)は少なくとも開発に1年~1年半は必要とみているが、当面は投与できる量に限りがあるため接種の優先順位の議論が必要になってくる。

 優先すべきは医療関係者、薬や医療機器の製造・供給の関係者だ。治安・社会機能維持のために必要な要員も対象となる。

 新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく有識者会議で、社会機能維持のための分科会長を務める豊橋技術科学大の大西隆・前学長は「感染が進んでいる地域や、高齢者や基礎疾患のあるハイリスクの人に重点的に予防接種する計画を考えていくことになる」という。

 こうした「命の選択」を迫られる状況に陥らないようにするため、日本は正念場を迎えている。

◇     ◇     ◇

治療薬候補、臨床研究急ぐ

 新型コロナウイルスの治療薬を巡っては現在、主に5種類の候補薬の臨床研究が国内で行われている。医療関係者は期待できる効果と副作用の見極めを急いでいる。

[画像のクリックで拡大表示]

 国立国際医療研究センターでは4種類の候補薬の投与を計画。酸素補給が必要などの肺炎患者を対象に、エボラ出血熱向けに開発された「レムデシビル」の臨床試験がベースになる。

 肝臓への影響が出る副作用の可能性が指摘されており、肝障害があるか妊娠中や透析中の患者、治験薬へのアレルギーがある人は適用外になる。

 適用外患者にはインフルエンザ薬「アビガン」、急性膵(すい)炎の治療薬「ナファモスタット」の投与を検討する。ただし、妊婦は使えず、肝障害の恐れもあり、具体的な対象患者は決まっていない。

 肺炎になる前の患者にはぜんそく用吸入薬「オルベスコ」を試みる。副作用のリスクが比較的少ない。

 国内では抗エイズウイルス(HIV)薬「カレトラ」も加えた5種類が主な候補薬。日本感染症学会の舘田一博理事長は「いずれも幅広い患者の有効性は確認されてはいない。重症化が進むと効果が見られない事例もある」と指摘する。

 新型コロナウイルスは患者自身の免疫系の暴走などにより、急激に重症化するとみられている。「タイミングが遅いと回復は見込めないが、早すぎれば副作用のリスクと効力が見合わない。症例を積み上げ、投与を開始する判断基準をつくっていく」(舘田理事長)

(寺岡篤志)

[日本経済新聞朝刊2020年4月6日付]


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この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。

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