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足の裏に痛み… 足底腱膜炎、足休めて衝撃波で治療も

 日本経済新聞電子版

水ぬるむ春、健康維持のためランニングやウオーキングなどに励む人も多いだろう。ただ、立ったり歩いたりするときに突然、足の裏がズキンと痛む場合は要注意だ。足のアーチ構造を支える「足底腱膜(けんまく)」に炎症が起きている可能性が高い。中高年に多い病気で、ストレッチなどが効果があるが、衝撃波を患部にあてて痛みを取り除く治療法も広がりつつある。

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 ランニングを日課としている会社員Aさんは歩きはじめに、かかとにズキンとした痛みを感じた。痛みはすぐに引き、ランニングを続けたが、その後も時折同じ痛みに襲われた。何かを踏んだ覚えもなく準備運動もしていただけに心配になり、医療機関を受診すると、足底腱膜炎と診断された。

 この病気はかかとに起こりやすい炎症で、歩いたりスポーツしたりした際に、かかとの骨から足先に向かって伸びている足底腱膜に負担がかかり、痛みが生じる。独協医科大学越谷病院(埼玉県越谷市)の栃木祐樹准教授は「炎症が起きていても、足が腫れるなど見た目ですぐ分かるケースは少ない。突然、痛みを覚える人が多い」と指摘する。


放置すると慢性化

 痛みは起床後の一歩目や、スポーツ時に、足の裏に体重がかかった瞬間に起きる。ただ歩いたり、走ったりするうちに痛みがなくなるため放置しやすい。「何度かその状態を繰り返すと慢性化して、痛みがひどくなる場合もあるので注意が必要だ」と栃木准教授は訴える。

 発症の要因として多いのは加齢だ。「年をとると足底腱膜の柔軟性が低下し、傷つきやすい状態になる。とくに50~60代の女性に多い」(栃木准教授)。仕事などで長時間立ちっぱなしの人や、スポーツで足を使いすぎの人は年齢や性別を問わず発症しやすいという。足底腱膜にできた小さな傷が修復されないうちに、再び負担がかかるからだ。肥満のため足に負担がかかって痛みが生じる例もある。

 対処法としてまず大切なのは、足への負担を減らすことだ。スポーツなどで足を使いすぎないよう心がけることが重要だ。痛みがある場合は、足を休ませる。スポーツの種目を変えることも有効だ。たとえば、ジョギングをしていて痛みを感じたら、水泳や自転車こぎなどに切り替える。こうすれば、足への負担を減らしながら体も鍛えられる。

 仕事などでどうしても足を休めるのが難しい人は靴を工夫したい。「クッション性の高い靴を履いたり、靴に中敷きを敷いたりすると、衝撃が和らぎ、痛みの軽減につながる」と栃木准教授は助言する。

 船橋整形外科病院(千葉県船橋市)の高橋謙二医師は「最も効果があるのは足の裏とふくらはぎのストレッチだ」と語る。1日3回程度、起床後や歩き出す前、入浴後などに実施すると、ほとんどの患者が生活に支障がない程度に回復する。

 鎮痛薬を使う場合もある。痛みを軽減する効果があるが、痛みの原因をなくすわけではないという。また、足底腱膜の一部を取り除く手術は「手術をすると傷痕が残る。運動を再開するまで時間がかかることが多く、患者の負担が大きい」(高橋医師)。

8割の患者が緩和

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 近年注目を集めているのが体外から衝撃波を当てる治療法だ。尿路結石などの治療に使われてきた装置だが、2012年から足底腱膜炎も保険が適用された。

 対象となるのはストレッチや薬物療法などで半年以上痛みが消えない人で、患部に低出力の衝撃波をあてて、だんだん出力を上げる。高橋医師は「衝撃波なので多少、痛みを感じるが、麻酔を必要とするほどではない。患者の様子を見ながら出力を上げる。1回15~20分程度で終わる」と話す。

 衝撃波の治療は約1カ月の期間をあけて3回程度実施するのが一般的だ。高橋医師によると、患者の約8割で足の痛みが大幅に軽減した。一時的に痛みが出る人もいるが副作用はほとんどないという。

 高橋医師の患者では治療前の痛みを10とすると、治療3カ月後に痛みが0~5のレベルに軽減した人が77%に上った。ただ、高齢者に多い脂肪組織の炎症が原因の痛みには効きにくいという。

 歩きはじめに痛みを感じる足底腱膜炎に対し、何もしなくても痛みが出る、かかとだけでなく足の裏全体が痛むといった場合は、別の病気を発症している可能性もあるので注意したい。肥満は足の痛みだけでなく生活習慣病の要因にもなるので、暴飲暴食を避けて、バランスのとれた食生活などを心がけることで改善するのが得策だ。


(川口健史)

[日本経済新聞夕刊2015年3月27日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。