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歯周病、知らぬ間に進行 成人の半数が予備軍

丁寧に歯垢除去 少なめの歯磨き粉で

 日本経済新聞電子版

歯周病は代表的な歯の病気だが、痛みを伴う虫歯と比べて自覚しづらい。成人の大半がかかっているとみられ、重症になると歯が抜け落ちることも。毎日の丁寧な歯磨きで予防し、初期症状には早めに対処しよう。

歯茎が赤くなり、歯磨き時に出血があれば歯周病の初期症状。歯科の受診を。写真はイメージ(c)Vadim Guzhva-123RF

 歯周病は歯茎の炎症、つまり歯周組織の病気だ。歯と歯茎の境目にたまった歯垢(しこう)の中にある細菌が、歯茎にダメージを与える。初期は歯茎に炎症が起きて赤くなる歯肉炎。進行すると歯茎と歯の境目にできる「歯周ポケット」が深くなり、歯を支える骨が壊れる歯周炎になる。

 歯茎が赤くなり、歯磨き時に出血があれば歯周病の初期症状だ。高齢者に多い病気の印象があるが、国立保健医療科学院(埼玉県和光市)の安藤雄一統括研究官は「最新の統計データによると、成人の約半数に歯茎からの出血がみられる」と指摘する。決して他人事ではない。

 歯周病には20~30代から発症して短期間で急速に進行する「侵襲性歯周炎」と、10~20年単位で進行する「慢性歯周炎」がある。80歳で自分の歯を20本以上保とうという運動があるなか、抜歯の原因は歯周病が虫歯を上回る。「出血や歯茎の腫れなど、歯周病の初期サインを見逃さないことが大切」(安藤統括官)

 治療は初期の歯肉炎の段階なら歯垢や歯石を取り除くことで治るが、進行すると溶けた骨はそれだけでは元に戻らない。歯肉に出血があった時点で歯科を受診したい。

 「以前は進行を止めるだけだったが、最近は失った歯周組織をより健康な状態に戻す治療になっている」と東京医科歯科大学の和泉雄一教授は話す。歯肉を切開して人工の膜を入れるGTR法、再生材料(エムドゲイン)や再生薬(トラフェルミン)を使った歯周組織再生治療がある。    

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 予防は「丁寧な歯磨きにつきる」と和泉教授。歯の歯茎近くを爪でこすって、黄みがかった粘りのあるものが付いたらそれが歯周病の元になる歯垢だ。丁寧なブラッシングで除去しよう。

 力を入れ過ぎないように、歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握る。歯磨き粉に含まれる研磨材で歯を傷つけないために、歯磨き粉はブラシ表面の3分の1以下、長さは5ミリメートル程度の少なめで十分だ。

 食べかすは歯と歯茎の間にたまりやすい。歯ブラシを歯の真横からあてて、歯茎との境目を意識して磨く。歯のエナメル質や根を痛めないように、横に小刻みに動かそう。「歯を2本ずつ、各20回磨くのが理想的」と和泉教授。細かく動く電動ブラシも効果的という。丁寧にブラッシングすると15~20分間はかかる。少なくとも就寝前は念入りに磨こう。

 歯磨き後は軽くゆすぎ、歯間ケアも忘れずに。歯周病の多くは歯と歯の間の歯肉から始まる。若年層はフロスを、歯の隙間が広くなる40代以上は歯間ブラシを使う

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 フロスは両手の中指に糸を巻きつけ、長さ約5センチメートルに調整。歯や歯茎が傷つかないように、少しずつゆすりながら歯の間にさし込む。口の内側の指は固定し、外側の糸を動かして歯の両側を片側3回ずつこすり上げて磨く。歯間ブラシも同様に動かす。

 歯周病は口腔(こうくう)内のトラブルにとどまらない。炎症物質や歯垢中の歯周病菌が血中に流れ込んで体中に広がり、心臓病や脳梗塞を悪化させるほか、肺炎や早産、低体重出産と関連することが最近の研究で分かっている。

 歯周病を防ぐことで動脈硬化のリスクを低減するほか、アルツハイマー型認知症の予防にもつながるという。「若い頃は年1回、40代以上では半年に1回は歯科医でケアをしてほしい」(和泉教授)。毎日の丁寧な歯磨きで、歯茎と全身の健康を守りたい。

(ライター 結城未来)

[NIKKEIプラス1 2018年2月24日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。