歯周病、知らぬ間に進行 成人の半数が予備軍
丁寧に歯垢除去 少なめの歯磨き粉で
日本経済新聞電子版
予防は「丁寧な歯磨きにつきる」と和泉教授。歯の歯茎近くを爪でこすって、黄みがかった粘りのあるものが付いたらそれが歯周病の元になる歯垢だ。丁寧なブラッシングで除去しよう。
力を入れ過ぎないように、歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握る。歯磨き粉に含まれる研磨材で歯を傷つけないために、歯磨き粉はブラシ表面の3分の1以下、長さは5ミリメートル程度の少なめで十分だ。
食べかすは歯と歯茎の間にたまりやすい。歯ブラシを歯の真横からあてて、歯茎との境目を意識して磨く。歯のエナメル質や根を痛めないように、横に小刻みに動かそう。「歯を2本ずつ、各20回磨くのが理想的」と和泉教授。細かく動く電動ブラシも効果的という。丁寧にブラッシングすると15~20分間はかかる。少なくとも就寝前は念入りに磨こう。
歯磨き後は軽くゆすぎ、歯間ケアも忘れずに。歯周病の多くは歯と歯の間の歯肉から始まる。若年層はフロスを、歯の隙間が広くなる40代以上は歯間ブラシを使う。
フロスは両手の中指に糸を巻きつけ、長さ約5センチメートルに調整。歯や歯茎が傷つかないように、少しずつゆすりながら歯の間にさし込む。口の内側の指は固定し、外側の糸を動かして歯の両側を片側3回ずつこすり上げて磨く。歯間ブラシも同様に動かす。
歯周病は口腔(こうくう)内のトラブルにとどまらない。炎症物質や歯垢中の歯周病菌が血中に流れ込んで体中に広がり、心臓病や脳梗塞を悪化させるほか、肺炎や早産、低体重出産と関連することが最近の研究で分かっている。
歯周病を防ぐことで動脈硬化のリスクを低減するほか、アルツハイマー型認知症の予防にもつながるという。「若い頃は年1回、40代以上では半年に1回は歯科医でケアをしてほしい」(和泉教授)。毎日の丁寧な歯磨きで、歯茎と全身の健康を守りたい。
(ライター 結城未来)
[NIKKEIプラス1 2018年2月24日付]