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アルコール依存症治療 まず「減酒」でハードル低く

専門外来が支援、進む新薬の処方

 日本経済新聞電子版

 13年の厚生労働省の調査によると、アルコール依存症の患者は全国で約110万人に上ると推計される。10年前に比べて20万人以上増えたが、治療を受けているのは約5万人にとどまっている。

 17年4月に国内で初めて減酒外来を設けた久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の湯本洋介医師は「従来の依存症対策は断酒の一択。患者側に酒を飲まない覚悟がなければ医師も受け入れを拒むのが一般的で、重症化しないと治療を始められない課題があった」と指摘する。

 同センターの減酒外来には19年7月までに全国から約280人が訪れた。このうち92人に複数回答で受診理由を聞いたところ、最多は「ブラックアウト」の30人で約3割を占め、肝臓の健康状態など「身体問題」や、人間関係を悪化させる「暴言暴力」が続いた。

減酒外来の受診理由
[画像のクリックで拡大表示]

 減酒による治療は欧州で進んでおり、国内でも日本アルコール・アディクション医学会などが18年に診断治療ガイドラインを改訂、減酒の考え方が新たに加えられた。

 依存症治療の普及が期待される中、湯本氏は「アルコール依存症は進行性の病気で、あくまで減酒は中間目標という位置づけだ。基本的には断酒へのつなぎとして捉えてほしい」と話している。

◇     ◇     ◇

酒量記録・警告アプリも

 減酒外来では医師と摂取するアルコールの目標値を設定したうえで、実際の飲酒量を記録するのが一般的だ。最近ではスマートフォンなどのアプリで飲酒状況を管理する患者が増えている。

 沖縄県は2014年、スマホとパソコン向けの無料アプリ「節酒カレンダー」を公開。県内の男性のアルコール性肝疾患による死亡率は全国平均の約2倍に上り、手軽に適正な飲酒量を意識してもらう狙いでアプリをつくった。

 アルコールの摂取量の計算は、画面上の絵文字から酒類を選択できるため、飲酒の際も文字を打ち込む手間なく入力できる。「ほろ酔い期」「酩酊(めいてい)期」など酔いの状態を確認でき、アルコール摂取量が10グラムの上限を超えると警告が段階に合わせて表示されていく。

 飲酒量低減薬を販売する大塚製薬は、19年にスマホアプリの「減酒にっき」をリリースした。アルコールの目標値や服薬の状況のほか、医療機関での受診予定などを記録できる。こうしたデータは、医師や家族と共有が可能で通院生活もサポートする仕様にしたという。

(佐藤淳一郎)

[日本経済新聞夕刊2020年1月22日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「病気・医療」からの転載です。

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