風邪、薬に頼りすぎず 抗菌薬もウイルスには効果なく
日本経済新聞電子版
使い慣れた薬を
総合感冒薬の効能が気になるなら、どんな成分が含まれているかを確認してみよう。薬の外箱や中の添付文書に書かれている。製薬会社や医薬品医療機器総合機構のウェブサイトで調べることもできる。他の病気で薬を飲んでいる人は、成分の重複や他の成分との相互作用が生じないか、薬剤師に確認してもらおう。
なお、鼻水や鼻づまりを抑える抗ヒスタミン作用のある成分は眠気を催しやすいので、服用中の車の運転や機械操作は避ける。また、解熱鎮痛薬には十分気をつけたい。小児の発熱にはアセトアミノフェン入りの薬を選ぶ。ブランド名が同じでも「小児用」と書かれている薬には鎮痛成分としてアセトアミノフェンが含まれる。まれだが、成人でもスティーブンス・ジョンソン症候群という重い皮膚の副作用の報告もあるので注意を。
総合感冒薬は種類がとても多いので、店頭で何を選べばよいか迷いがち。ドラッグストアでの勤務経験が長い薬剤師の松本洋美さんは「人によって薬との“相性”が違う。使い慣れた薬があればそれが良い」という。以前に飲んだ経験があれば、副作用の回避にも役立つ。風邪は自然に治ることから考えても、効能に細かくこだわるより合う物を優先する。
松本さんは「治ると信じることによるプラセボ効果もある。効くと感じられる物を」と話す。
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インフルエンザは感染力強く
インフルエンザも広い意味でかぜ症候群に含まれる。以前はインフルエンザウイルスによる風邪を「流行性感冒」、それ以外を「普通感冒」と呼んでいた。流行性感冒の名の通り、インフルエンザは感染力が高く、症状も強いのが特徴だ。
インフルエンザウイルスを調べる検査キットや、インフルエンザウイルスに効く薬が開発され、インフルエンザの診断と治療は大きく変わった。予防の面では、インフルエンザにはワクチンがあるが、風邪の原因となるライノウイルスやアデノウイルスに対するワクチンはない。そのため現在では「風邪」と「インフルエンザ」を分けることが一般的だ。
(ライター 北沢 京子)
[NIKKEIプラス1 2017年1月21日付]