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和ピラティスで体幹や脚を強化 へそ下に力を込める

 日本経済新聞電子版

年の初めは日本の伝統芸能を目にする機会が多い。能や狂言、和太鼓などの動きからヒントを得た運動が「和ピラティス」だ。体力アップに加えて、美しい姿勢や所作も身につく。日常生活に取り入れてみよう。

(モデルは早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師・渡辺久美、以下同)

 日本に昔から伝わる能や狂言といった芸能や、剣道などの武道には、丹田と呼ばれる部位を意識する動きが多く見られる。丹田はおへその約5センチメートル下で、おなかから5センチメートルほど奥にあり、立つときの体の重心に当たる。

 私たちは日ごろ、重心を無意識にコントロールしながら体を動かしている。歩くときは骨盤の上にある体幹と2本の脚が連動して体を運ぶ。直立時は、背骨を支える筋肉が常に働いて姿勢を保つ。さらに、腹筋などに加え骨盤底筋が縮んで、骨盤内の内臓が下がらないように支えている。

 これらの複数の筋肉に意識的に力を込めることを「丹田に力を入れる」という。体の要を意識すると下半身が安定し、上半身の余計な力が抜けるため、美しい姿勢やしなやかな身のこなしが実現する。

 ただ、背骨がゆがんでいたり、骨盤の位置がずれていたりすると、丹田に力が入りにくくなる。伝統的な和の動作を参考にした和ピラティスで、背骨と骨盤の位置を整えてから、重心をなめらかに動かして体幹や脚を鍛えよう。

 用意するのは棒2本(市販の麺棒、または新聞紙を硬く丸めたもの)と、座面が硬めで、座ると膝が直角になる椅子。運動の前に腹囲をひもで測り、目印をつけておく。

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 初めの運動は、骨盤底筋に軽い刺激を与えながら取り組む。椅子の背もたれに垂直になるように棒を1本置いて、タオルなどでおおい、その上に座る。

 もう1本の棒を胸の前で垂直に持ち、ゆっくりと息を吸いながらまっすぐ上げて、背筋を伸ばす(棒で引き上げ、背伸び)。伸びきったら、息を吐きつつ棒を下ろす。終わったら、今度は棒を左右にひねり上げる(棒垂直斜め上げ)。

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 続いて、棒を太ももの付け根に置き、息を吐きながら背中を丸める(背中丸め)。丸めきったら頭を持ち上げて、息を吸いながらゆっくりと背中を反らす(反らし)。いずれも5秒ほどかけて丹田をへこませるようにしながら、3回繰り返す。

 ここで再び腹囲を測る。背骨と骨盤の位置が整えば、サイズは減ることが多い。

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 次は、棒を剣や太鼓のバチに見立てた動作。下腹部に力を入れて素振り(背骨キープ素振り)。左右の手で棒を1本ずつ持ち、両腕をまっすぐ上に伸ばす。脚を開きながら棒を左右に開いて、棒を背中に回しつつ腰を軽く落とす。足を踏み出すときも、背骨をまっすぐ保とう。

 最後は能や狂言の動きをイメージして、体幹と脚を鍛える動き。手のひらに棒を1本ずつ水平にのせて、軽く腰を落とす。棒を落とさないように腕と脚をゆっくり開いて、重心を左右に移動する。重心は上下させないように。膝に不安のある人は腰を落とさず、丹田を意識するのにとどめる。

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 今年は和の動きを身につけて、良い姿勢や動きやすい体で充実した毎日を過ごしてほしい。

(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)

[NIKKEIプラス1 2019年1月5日付]

この記事は、日本経済新聞電子版「フィットネス」からの転載です。