4.免疫が上がり 病気になりにくく!
睡眠中は副交感神経が働くことで血を全身に行き渡らせ、細胞を修復する。このとき、免疫細胞である「ヘルパーT細胞」や「NK細胞」の働きが活性して、免疫力が高まるとされる。最近の米国の研究では、睡眠時間が6時間未満の人にB型肝炎ワクチンを投与したところ、睡眠時間が6時間以上の人に比べて、ワクチンの有効性が11.5倍低くなることがわかった。
5.頭がスッキリ 気持ちも前向きに
3時間や4時間といった短時間睡眠では、深い眠りばかりか、浅い眠りにも影響が大。「記憶や感情の整理ができないうえに、仕事のミスなどのエラーを増やす原因になる。どんなに短くても4.5時間以上は睡眠を確保してほしい」(遠藤院長)。
6.潤いとツヤ、ハリがある 美肌を保てる
睡眠のリズムが崩れると、肌のリズムも乱れることがわかっている。資生堂の実験では、深夜5分間隔で睡眠を中断する実験をしたところ、実験直後から「皮脂量低下」「水分保持量低下」が起こった。1週間後には乾燥が気になる状態になり、肌のリズムが乱れることが明らかに。
7.酸化を防いで アンチエイジングに
質の高い眠りが、人間の心や体を無理なく再生するのは、ここまで説明した通り。つまり、満足な眠りを手に入れることは、アンチエイジングにもつながる。「6.5時間から7.5時間の睡眠帯が最も長寿だという報告があります」(遠藤院長)。
もしも、これまでに紹介してきた睡眠の質を上げる方法を実践しても、あまり効果が実感できなければ…。次回からは、睡眠を妨げる5つの病気とその最新対策について取り上げていく。
(写真:岡﨑健志/取材・文:村上富美)
早稲田大学スポーツ科学 学術院 教授 医学博士

スリープクリニック調布 院長

国立精神・神経医療センター 精神保健研究所 精神生理研究部 部長

(出典:日経ヘルス2012年12月号)